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デジタル社会、対応急ぐ公取 巨大IT新法案で独占に先手

巨大IT(情報技術)新法案は「事前規制」と呼ぶ新たなルールを打ち出す。違反があればすぐに摘発する仕組みにして、巨大ITによる競争の阻害を防ぐ。従来の独占禁止法が事後規制をとっているのとは手法が大きく異なる。

新法案では事前に示す禁止事項として①アプリストアや決済システムで他社の参入を阻害する②端末購入時に初期搭載されたアプリを消去しにくい仕様にする③検索で自社のサービスを優先表示する④OSの運営を通じて知った他社データを自社アプリに活用する――といった行為を具体的に掲げる。

独占禁止法は戦後間もない1947年に経済の民主化を目指して制定された。企業のカルテルや不公正な取引慣行を取り締まる役割を持つ。公正取引委員会は問題を調査し、違反企業には再発防止を求める排除措置命令や課徴金の納付命令を出す。

  • >>6409

    問題は調査にかかる時間だ。巨大ITの成長スピードは速く、対応を取ったときにはすでに独占体制が確立され、他社が参入できない状況になっていることも多い。

    時間がかかった事例として有名なのは欧州連合(EU)だ。欧州委員会は2017年に米グーグルに対して、検索サービスで自社サイトを優遇したとして、24億2000万ユーロ(当時およそ3000億円)の制裁金を命じた。

    このとき、欧州委は調査に7年もの時間がかかった。早大法学学術院の土田和博教授は「対象となる市場の画定やどんな競争制限行為があったかの立証に時間がかかる」と指摘する。

    EUは、3月にデジタル市場法(DMA)を全面適用した。日本に先んじて「事前規制」でルールを設定し、巨大ITの独占を防ぐ仕組みをとった。

  • >>6409

    公取委にとって最大の課題は運用にある。EUでは欧州委員会の競争総局と、デジタルの専門部局が連携して執行を担う。100人規模の人材を擁するが、それでも不足感があるという。

    公取委の担当部署は14人、加えて「デジタルアナリスト」は4人と少ない。トップクラスの技術者から法務部門まで多様な人材を抱える巨大ITに対峙するためにも、人員増の必要性は明らかだ。

    永田町にも危機感はある。自民党で同法の検討を進めた小林史明衆院議員は「政治の側からも予算や人員の拡大を財務省などに働きかける。施行までに体制のめどをつけたい」と話す。

    専門人材の採用や外部連携は適切な執行の要となる。新法では巨大ITに対し、他の事業者が参入しやすくなるようシステムの仕様変更を求める。技術的な限界を理由に、一部の要請に応じないことも想定される。

    東北大大学院の伊永大輔教授は公取委の体制について「巨大ITの対応が適切かどうか判断できる技術者や専門家が必要だ。技術的制約で正当化される範囲を見抜けなければ監視が不十分になりかねない」と指摘する。

    公取委が新法を国会に提出したのは60年ぶりになる。新法の第1条はこの法律について、スマホ関連ソフトの「公正かつ自由な競争の促進を図り、もって国民生活の向上および国民経済の健全な発展に寄与する」ことが目的だとうたう。

    新法のもくろみ通り、フェアな競争が実現し、経済成長につながるか。デジタル社会の進展で、政策も新しい時代に入っている。