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米IPO株が急落、金利高が重荷 中国は規制強化で低迷

世界の新規株式公開(IPO)銘柄の株価が急落している。米国で直近でIPOした銘柄の値動きを示す指数は4月に9%安と、米S&P500種株価指数の3%安より下げがきつい。米長期金利の上昇や大型銘柄の株価低迷がIPO銘柄への投資意欲に冷や水を浴びせている。

米国市場で上場した銘柄に投資する上場投資信託(ETF)「ルネサンスIPO」の24日の価格は37.65ドルと、3月末比で9%下落した。年初は米景気拡大と米利下げ期待から3月末には2023年末比で10%上昇していた。楽観ムードが失速した背景には、米国の利下げ期待の後退がある。

IPO銘柄の多くは、設備投資や研究開発に必要な資金を上場だけでは十分に確保できず、金融機関などからも借り入れをしている。QUICK・ファクトセットによると、ルネサンスIPOで最も組み入れ比率が高い大衆薬・日用品の米ケンビューは23年末時点で82億ドルの債務があった。

利払いが負担になっている企業も多く、暗号資産(仮想通貨)交換業大手の米コインベースは23年12月期の支払利息がEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)を上回った。ネット証券の米ロビンフッド・マーケッツは51億ドルの債務があるが、23年12月期のEBITDAは赤字だ。金利が上昇すると利払い負担が重くなり経営を圧迫する。

三菱UFJアセットマネジメントの安井陽一郎チーフファンドマネジャーは「米長期金利の上昇でIPO銘柄の割高感が意識されるようになった」として、投資尺度(バリュエーション)の観点でも株価の重荷になったと指摘する。長期金利が上がると、将来の利益を現在価値に引き直す際の割引率が上がり、将来の利益成長を株価に織り込むIPO株には逆風になったとみる。

米国のIPO銘柄は金利上昇局面で下落する傾向がある。米国で利上げが始まった22年前半や、強いインフレ圧力から利上げの長期化が意識された23年夏も、長期金利が上昇する中でIPO株は売られた。

  • >>6187

    もう一つの要因が大型IPO銘柄の不振だ。3月21日に上場した米オンライン掲示板運営レディットは、4月に入り初値を下回る水準で推移し、IPO銘柄への投資家心理を冷やしている。数百万〜数千万ドルの調達が中心のIPOの中で、レディットは7.5億ドルの大型調達として注目されていた。4月18日に上場した買い物アプリの米イボッタも初値天井に近い状況となっている。

    ルネサンスIPOは上場後3年以内の銘柄が主な投資対象だ。コインベースなど、特別買収目的会社(SPAC)ブームでIPO市場が活況だった21年ごろに上場した銘柄の多くは、その後のSPACの失速と連動して株価が下がり、足元でも初値を下回る水準となっている。

    21年末比ではS&P500種株価指数やナスダック総合株価指数が上昇する中で、ルネサンスIPOは35%安に沈む。ケンビューの株価も上場した23年5月からほぼ右肩下がりだ。多くの投資家が含み損を抱えているとみられ、大型銘柄の不振もIPO株全体の押し下げ要因となっている。

  • >>6187

    中国、IPO市場の不透明感高まる

    米国市場以外で上場した世界のIPO銘柄に投資するETF「ルネサンス国際IPO」は24年初めから低迷し、23年末比で3%安となっている。同ETFは香港市場に上場した中国関連銘柄などが1割を占める。中国を含む世界の多くの国で23年末比では株価が上昇しているのに比べ、不振が目立つ。

    香港市場に上場し3億米ドルを調達した「茶百道」を展開する四川百茶百道実業は、上場初日の4月23日の終値が公開価格を27%下回った。英LSEGによると、中国はIPOの調達額も1〜3月に31億ドルと8割減った。同期間の世界のIPOによる調達額が220億ドルと5年ぶりの低水準となる主要因となった。

    国際会計事務所のデロイトによると、23年1〜3月にIPO調達額で世界2位だった上海証券取引所は24年1〜3月は5位に後退。香港取引所は10位に落ち込んだ。中国のスタートアップ企業幹部は「本土上場は難しく、香港や米ナスダック市場に上場したい」と話す。

    中国証券監督管理委員会は23年8月、株式市場の安定を目的に段階的にIPOを減らす方針を打ち出した。株式市場の需給に悪影響を与えかねないとして大型企業のIPOを抑制。中国の国策上、優先度が低いアパレル、飲食、不動産開発など衣食住関連企業のIPOにも事実上のハードルを課した。

    24年3月15日には、上場企業の質の向上を目的に「やみくもな資金集めを目的とした新規上場を厳しく禁止する」(同委員会の李超副主席)とIPOの一段の基準厳格化を発表した。

    こうした監督方針を受け、中国の農薬・種子最大手、先正達集団(シンジェンタグループ)は3月29日、上海証券取引所で予定していたIPOを撤回した。同社は上場に成功すれば、資金募集額は650億元(約1兆3000億円)となり、中国本土で過去4番目の大型上場となる予定だった。

    中国のIPOの苦境は今後も続くとの見方が多い。デロイトは中国の24年通年のIPO予想を、23年末時点と比べて社数、調達額とも半減に下方修正した。コンサルティング大手PwCは「中国におけるIPO市場の不透明感は高まっている」と指摘する。