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米株マグニフィセント7に強さともろさ 中東・決算の関門

「相場は全体的に上がるときが最も強く、一握りの優良銘柄だけが上がるときが最も脆弱だ」。米ウォール街の重鎮アナリスト、ボブ・ファレル氏が書き記した10の法則の一つだ。2000年代初めまで半世紀近く活躍した同氏の言葉を、市場参加者は思い起こす必要があるかもしれない。

世界の株高をリードしてきた米国を代表するハイテク企業「マグニフィセント7」の株価が揺れている。半導体エヌビディアと電気自動車(EV)のテスラはともに先週1週間で14%安となった。

集中相場がはらむ脆弱さが顔を出し始めたか。

  • >>6073

    元メリルリンチの著名エコノミスト、デビッド・ローゼンバーグ氏は焦点は2つだと話す。「1つは米連邦準備理事会(FRB)が『より高く、より長い』タカ派の金融政策に戻るリスク、もう一つは(マグ7の)利益が失望を呼ぶリスクだ」

    イスラエルによるイランへの攻撃が伝わり、日経平均株価が1000円を超える急落となった19日。欧州金融大手UBSでは東京市場の取引終了後すぐ欧米、新興国を含む世界の拠点をまたいだ議論が交わされた。

    核施設を狙う攻撃ではなく互いにエスカレーションの意思はみえない。しかし事態は不透明だ。全面対立に陥り、これに米国が関与を深めるシナリオが消えたわけではない。議論の中で確認された一つが、「米金利の変動が高まる可能性」(UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメントの青木大樹氏)だ。

    これまで米国株の楽観ムードを支えた米利下げ観測。それが揺らぐかもしれない。米消費者物価の高止まりが伝わっている。中東問題で原油高が現実になれば一段と水をさされる。その場合、マグ7のような成長株ほど影響を受けやすい。

    中東を巡る金融市場の苦い記憶は原油価格が1バレル140ドル超に跳ね上がった2008年夏だ。当時、イスラエルによるイラン核施設の空爆計画が伝わり緊張が走った。「今回もし報復の連鎖によってホルムズ海峡封鎖といった事態になれば、原油と金融市場にとって影響は大きい」(SMBC日興証券の末沢豪謙氏)

    集中相場のもろさを米国株は過去に経験してきた。1970年代初めの「ニフティ・フィフティ」相場、1990年終盤のテックバブルだ。

  • >>6073

    膨らみ過ぎた業績拡大期待が失望に転じたときの影響は大きい。「90年代のテックバブルでは、シスコシステムズの1株利益予想が1セント外れたことで株価が急落した。当時誰もそんなことが起きると思っていなかった」(ローゼンバーグ氏)。シスコ株はピークの10分の1まで一時落ちた。

    気になる動きは起きつつある。18日発表した台湾積体電路製造(TSMC)の1〜3月期決算。決算自体は好調だったが、失望を呼んだのは半導体業界全体の24年の生産予想だ。「10%以上の伸び」を「10%の伸び」に修正した。「以上」の文字が消えたことで、日本を含む半導体関連株に売りの波が広がった。

    その意味で今週本格化する米ハイテク決算は世界が注目する。「これまで当たり前だった『上振れ』の材料が出てきにくい」と逆風を口にする市場関係者もいる。

    今回のマグ7相場を過去のバブルに比べるとどうか。米ゴールドマン・サックスの3月の分析では、7銘柄の時価総額は市場全体の30%を超えた。20%弱だった過去2回を上回る集中度だ。上場投資信託(ETF)を通じた資金の流入も過去にはなかったことだ。

    一方、今の利益予想からみた株価収益率(PER)でいえば、過去ほど極端な割高感になっていないようにはみえる。「強力なバランスシートを持つ」(ゴールドマン)のは90年代末との違いだ。

    アクティブ運用に強い米ティー・ロウ・プライスは、同社の運用資産全体でみて昨年10〜12月期はマグ7株保有の一部を落とす結果になった。顧客資金の純流出や株価がそれまで好調だった分、配分を変えたためだ。

    グローバル運用部門責任者のエリック・ベイエル氏は「市場全体が脆弱だとは思わないが、推進力を持つ企業が減れば市場を不安定にする。米国のファンダメンタルズは依然強く、バリュー(割安)株の配分を増やすことに関心が高まりつつある」と話す。

    テック株の栄枯盛衰はいわば宿命だ。巨利を上げる分野は参入が増えるし、また新たな技術が登場してくる。もちろん10年、20年と長い単位で収益を積み重ねる企業もある。シスコの機器は今も広く使われている。

    ただ最も優れてみえる企業の株価が、そのときの投資として優れているわけでは必ずしもないとわかるのは後になってからだ。それが試される関門をこれから迎える。