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近畿大学、ウナギ人工ふ化成功 4年後飲食店提供へ

関西 科学&新技術
2019/11/1 18:15928文字
近畿大学は1日、ニホンウナギの人工ふ化と50日間の飼育に成功したと発表した。ウナギは養殖に使う稚魚の漁獲量の減少が問題となっている。今後は人工ふ化で生まれた魚を親に育ててから卵を取り出し、さらにふ化させて2代目をつくる完全養殖の研究を進める。早ければ3年で完全養殖技術が確立する見通し。4年後には飲食店で完全養殖ウナギの提供を目指す。

東京都内で記者会見をした近大水産研究所の升間主計所長は「近大にはマグロの完全養殖で培った持続力と技術力がある。ぜひウナギもレストランで提供したい」と話した。近大は2002年にクロマグロの完全養殖に成功。大阪と東京で運営する飲食店でマグロやタイ、シマアジなどの養殖魚を提供している。

ウナギの養殖は国立研究開発法人の水産研究・教育機構が完全養殖に成功したが、コスト面から商業化ができていない。近大は18年に水産研究・教育機構から研究者を招き、19年3月から養殖研究を本格的に始めた。9月に成熟したウナギから数十万個の卵を採取し、人工授精に成功。ふ化した稚魚のうち約20尾が50日間生き残り、2センチほどに育った。ふ化して成魚に育つまでに約1年、卵を産むまでにさらに約2年かかる。

ウナギの国内消費の99%は漁獲した天然の稚魚「シラスウナギ」をいけすで育てる養殖だ。だがシラスウナギの漁獲量が激減し、養殖生産量は1990年をピークに減少傾向が続く。環境省は13年にニホンウナギを絶滅危惧種に指定し、資源の枯渇が危惧されている。

近大の水産研究所は日本の養殖産業の発展を支えてきた。近大が初めて人工ふ化から養殖の元になる種苗生産に成功した魚種はブリやマイワシなど18種類にのぼる。なかでもシマアジは国内養殖で使う種苗の75%が近大産だ。クエの成長を速めた「クエタマ」などの交雑種も開発している。

学校経営の観点では広告塔としての役割が大きいようだ。種苗を販売する水産養殖種苗センター(和歌山県白浜町)の18年度の売上高は18億3000万円と総収入の1%程度にとどまる。一方で近大の19年度入試の総志願者数は20万8564人と過去最高を更新した。18歳人口が減少するなか、近大マグロのPRが奏功し、首都圏の志願者が増えている。