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Achilles Last Standの掲示板

「新世紀エヴァンゲリオン」「鋼の錬金術師」といった日本アニメに心酔した中国のデジタル世代がスマートフォンゲームの世界市場を席巻しつつある。2021年上期の収益ランキングでは、中国のゲーム会社が上位10本のうち4つを占めた。グローバル展開でもたついた日本勢は一時の勢いを失ったまま、足元の日本市場を切り崩されている。
オタクの聖地アキバを9月半ば、人気スマホゲーム「原神」が占拠した。JR秋葉原駅の周辺は原神キャラクターの屋外広告で埋め尽くされ、原神とコラボレーションしたカフェには入店待ちの列。20代男性は「これからキャラとツーショットの写真を撮りにいく」と興奮気味に話した。

瞳の大きなキャラは日本アニメのようだが、実は公式サイトに「技術あるオタクは世界を救う」と掲げる中国・上海のゲーム会社、miHoYoが20年9月にリリースしたものだ。日本のほか北米でもヒットし、配信開始から半年足らずで10億ドル(約1100億円)の収入を得たとされる。スマホゲームの収益ランキングでも21年上期の世界2位に入った。

ゲーム関連のコンサルティングを手がける80&Company(京都市)の堀池広樹最高経営責任者(CEO)は「キャラクターの個性が立っていて、他のプレーヤーと仮想空間を自由に動き回る『オープンワールド』の世界観が非常に優れている」と舌を巻く。

中国のゲーム業界はIT大手の騰訊控股(テンセント)が長らくけん引してきた。約12億人のユーザーがいる対話アプリ「微信(ウィーチャット)」の巨大プラットフォーマーは、米ライアットゲームズなど有力ゲーム会社を相次ぎ買収した。力ずくの成長だけではなく、ここにきてmiHoYoをはじめオタク世代が起業した新興勢力が台頭している。

Achilles Last Stand 「新世紀エヴァンゲリオン」「鋼の錬金術師」といった日本アニメに心酔した中国のデジタル世代がスマートフォンゲームの世界市場を席巻しつつある。2021年上期の収益ランキングでは、中国のゲーム会社が上位10本のうち4つを占めた。グローバル展開でもたついた日本勢は一時の勢いを失ったまま、足元の日本市場を切り崩されている。 オタクの聖地アキバを9月半ば、人気スマホゲーム「原神」が占拠した。JR秋葉原駅の周辺は原神キャラクターの屋外広告で埋め尽くされ、原神とコラボレーションしたカフェには入店待ちの列。20代男性は「これからキャラとツーショットの写真を撮りにいく」と興奮気味に話した。  瞳の大きなキャラは日本アニメのようだが、実は公式サイトに「技術あるオタクは世界を救う」と掲げる中国・上海のゲーム会社、miHoYoが20年9月にリリースしたものだ。日本のほか北米でもヒットし、配信開始から半年足らずで10億ドル(約1100億円)の収入を得たとされる。スマホゲームの収益ランキングでも21年上期の世界2位に入った。  ゲーム関連のコンサルティングを手がける80&Company(京都市)の堀池広樹最高経営責任者(CEO)は「キャラクターの個性が立っていて、他のプレーヤーと仮想空間を自由に動き回る『オープンワールド』の世界観が非常に優れている」と舌を巻く。  中国のゲーム業界はIT大手の騰訊控股(テンセント)が長らくけん引してきた。約12億人のユーザーがいる対話アプリ「微信(ウィーチャット)」の巨大プラットフォーマーは、米ライアットゲームズなど有力ゲーム会社を相次ぎ買収した。力ずくの成長だけではなく、ここにきてmiHoYoをはじめオタク世代が起業した新興勢力が台頭している。

  • >>53

    「スラムダンク」「美少女戦士セーラームーン」といった日本アニメを見て育った中国の子どもは00年代に大学生になった。インターネット上に動画サイトが立ち上がり、エヴァンゲリオンや鋼の錬金術師に夢中になる若者が増えた。その一部は日本の動画制作の下請けなどで腕を磨く。

    中国オタク文化に詳しいMYCJapan(東京・千代田)の峰岸宏行氏は「10年代以降はクリエーターらの独立起業が相次いでいる」と指摘する。miHoYoも上海交通大学でアニメやゲームの趣味を謳歌した3人が12年に設立した。「崩壊学園」シリーズをヒットさせ、原神は開発や広告宣伝に1億ドル(約110億円)の巨費を投じたとされる。一気に世界市場の開拓に打って出たのだ。

    中国ゲームの海外売上高は154億ドル(約1兆7000億円)に達する。世界のスマホゲーム勢力図もこの5年で塗り替えられ、トップ10は原神など中国勢が4本を占める。16年はミクシィの「モンスターストライク」が世界一、ガンホー・オンライン・エンターテイメントの「パズル&ドラゴンズ」が7位だったが、日本市場だけで大ヒットしてもランキング上位は狙えなくなってきた。

    世界最大のゲーム市場を抱える中国勢がグローバル志向を強める一方、日本のスマホゲーム会社は内弁慶のビジネスモデルを変えられなかった。「パズドラ」は欧米やアジアに展開したが、日本のようにキャラクターを手に入れる電子くじ「ガチャ」の高額課金を受け入れるヘビーユーザーは限られる。賭博性のあるガチャは各国の法規制にも阻まれた。

    パズドラは17年に中国での配信を終了した。ガンホーの森下一喜社長は「世界で勝負するなら、はじめから世界水準で作らないと受け入れてもらえない」と振りかえる。それでも固定ファンのいる日本国内ではパズドラもモンストもそれぞれ不動の稼ぎ頭であることは変わらない。

    「巨費を投じて新作を出してもヒットするか分からない」「ヒットしても旧作と自社競合しかねない」――。日本のスマホゲーム草創期の成功体験はいつしか内向き思考に変質し、お家芸だったはずのオタク系ゲームも中国から逆上陸されてしまった。

    ソフトパワーはネットを介して軽々と国境を行き来する。日本市場に最適化されたビジネスモデルに閉じこもっていては、足をすくわれかねない。