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Achilles Last Standの掲示板

米経済が本格的な金融引き締め局面に突入した。株式市場は早くも拒絶反応を示す。株式相場の「冬の時代」にまだ終わりはみえない。

23日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続落し、3カ月ぶりに年初来安値を更新した。年初来の下落率は19%と、リーマン危機が発生した2008年の34%に迫る。

S&P500種株価指数も4日続落し、23日は3693で終えた。6月に付けた年初来安値(3666)が近づく。米投資銀行BTIGによると、S&P500種の3900近辺は過去3年間で累積の売買代金が最も多い価格帯だ。これを下回る水準では、投資家の損失覚悟の投げ売りが膨らんでいる可能性が高い。

どこまで利上げをすればインフレが沈静化するかわからないとの警戒が、投資家の株売りを加速させる。米連邦準備理事会(FRB)は21日、0.75%の追加利上げを決めた。政策金利は3.0~3.25%となり、長期的に景気を熱しも冷ましもしない水準である中立金利(2.5%)を明確に上回った。米金融政策はこれまでの「緩和縮小」から「引き締め」局面に名実ともに突入した。

さらにFRBが今回の利上げ局面における政策金利の到達点(ターミナルレート)を引き上げたことに対し、市場は動揺した。FRBメンバーが予想する22年末時点の政策金利は4.4%と前回6月(3.4%)から上方修正された。23年末時点も4.6%と前回(3.8%)から切り上がった。さらに4.9%が適切だとみるメンバーも複数おり、5%までの利上げを視野に入れる。ターミナルレートは4%近辺とみていた金融市場は5%への修正を迫られた。

  • >>114

    複数のターミナルがある国際空港での移動をもじって、「ターミナル4からターミナル5へ移動した」との声もあがる。FRBのインフレ対応が後手後手で、足元の拙速な金融引き締めが歴史的な株安を招いていることを暗に非難する。

    来年にはターミナル6や7へ移動するとの警戒も強い。バンク・オブ・アメリカのラルフ・アクセル氏は、物価水準などから機械的に適切な金利水準を算出する「テイラールール」に基づくと、あるべき政策金利の水準は「7~13%のどこか」と試算した。強烈な利上げでハードランディングのリスクがさらに高まる。

    景気不安に加え、債券利回りの上昇で株式の分は悪い。米国の投資適格債券の平均利回りは5%と、09年以来の高水準だ。1年物の財務省短期証券(Tビル)の利回りは4%を超え、元本がインフレ率に連動する「シリーズI」と呼ばれる貯蓄用の米国債は9%台の利率で人気を集める。

    貯蓄口座でも年3%の利率を提供する地方銀行が出てきた。半面、株式市場では高配当株が多く含まれる上場投資信託(ETF)からの資金流出が目立つ。

    経済学に「金融政策の非対称性」との言葉がある。諸説はあるが、緩和による景気浮揚の効果は限られる半面、引き締めによる景気の押し下げの影響は大きくなることを意味する。今回の引き締めが年内になんらかの金融ショックにつながる可能性があるとみるエバコアISIのエド・ハイマン氏の「FRBがやり過ぎないように祈るだけ」との言葉が印象的だ。