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4587-PEPTIDREAM研究会(中・長期ホルダー専用)短期・売り煽り禁止!!の掲示板

Vol. 138, No. 1
YAKUGAKU ZASSHI 138,55-61 (2018)

人工生合成系を活用した擬天然物創製戦略
後藤佑樹

ttps://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi/138/1/138_17-00186-3/_pdf
(662 KB)

  • >>5758

    ↓が良いですね。

    また,RaPID システムから生み出されたペプチドの誘導体には,細胞膜透過能を有し,細胞内で標的酵素を阻害することができるものも存在する.ヒストン脱メチル化酵素の1 つであるKDM4A の阻害剤として,RaPID システムで開発されたCP2は,試験管内でKDM4A を強く阻害した一方で,生細胞を用いた評価実験では細胞内のKDM4A の阻害がみられなかった.これは,CP2 の低い膜透過性あるいは細胞内安定性に起因すると考えられた.そこでわれわれは,CP2 とKDM4A の共結晶構造を基に,分子内/分子間の相互作用に係わっていない箇所に主鎖N-メチル化及び側鎖の変異を導入した誘導体CP2.3 を設計した.このCP2.3 は,細胞内でのKDM 依存的なヒストン脱メチル化を有意に抑えることが明らかになった(Fig. 6).19) 一般に,ペプチド性の中分子は,細胞内分子を標的とした生物活性の発揮が難しいと考えられているものの,この問題を解決し細胞内で機能する擬天然物を提供するポテンシャルをRaPID システムは持っていると言えよう.

  • >>5758

    犬猫さん、いつも情報ありがとうございます。

    「ここまでできるPDPS」的な論文で楽しく読みました。

    文中に紹介されていた、CP2とKDM4Aの論文なんですが、オープンアクセスになっていたのを確認しました。
    https://www.nature.com/articles/ncomms14773
    なおPDF版は、上記ページのアイコンからダウンロード可能です。


    以下、感想など

    ”分子内/分子間の相互作用に係わっていない箇所に主鎖 N-メチル化及び側鎖の変異を導入した誘導体 CP2.3 を設計した”との一文が眩しいです。

    こういう点が、具体的なPDPSの運用ノウハウで、基礎特許が切れた場合のアドバンテージになるのでしょう。
    また、相互作用に関わっている部位とその構造を把握することで、別の機能を分子に付与できる点も明確になりました。

    上記の論文では、CP2.3の分子構造が記載されていますが、PPIを起こさない部位に蛍光分子をコンジュゲートしています。
    BMSとのPETトレーサーであれば、PD-L1と相互作用するペプチド鎖とは逆方向の側鎖で、
    かつ分子全体のバランスを崩さない範囲であれば、F18を組み込むことが可能。といったところでしょうか。


    後藤先生のレビューと論文を併読することで、PDPSのアップデートや運用ノウハウの具体的な一面が朧気ですが見えてきます。こういった研究成果のフィードバックを的確に受け、PDPSは拡張されていくのだなと。

    PDPSの基本機能は完成しています。その上で、コドンボックスの拡張やら、膜透過性を持つライブラリなど、プラグイン的に機能拡張が行われます。それらを導入することで、より効率的なPDPSの運用が可能になるのでしょう。

    そういった点が、PDPSのライセンスビジネスが、買い切りではなくメンテナンス込の契約となっている大きな理由だと思います。(創薬物質探索システムのサブスクリプションモデルといったところでしょうか)

    銘柄というよりも、技術体系の拡がりに惚れている部分が大きいので今回のレビューは本当にワクワクしました。ご紹介ありがとうございました。

    また時間を作って論文と格闘してみます。
    この度は楽しい話題ありがとうございました。