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一匙の胡椒の掲示板

大学発のオープンソースで開発されるCPUの命令セットアーキテクチャ(ISA)の「RISC-V(リスク・ファイブ)」の開発は、いまやMicrosoft、IBM、Qualcomm、Micron、Samsung、Huaweiなどの名だたる企業が参加する一大プロジェクトとなっています。CPUというハードウェア開発の鍵となるISAをオープンにするRISC-Vは、「ムーアの法則」の終わりの時代に現れた、将来のコンピューティング・エコシステムを大きく変える可能性を秘める存在だという予想があります。

従来のCPU開発では、ISAは限られた企業でのみ利用することのできる"閉じられた"存在でした。例えば、x86の利用はIntelとAMDのみに限られ、モバイル向けArm ISAを利用するにはArmにライセンス料を支払う必要がありました。このため、チップ開発におけるISAの存在は参入障壁として機能する側面がありました。

この閉じられた世界を開放する存在として、オープンソースとして開発されるRISC-Vは期待を集めています。まず、RISC-Vの利用にライセンスフィーは不要なため、IoT時代の到来に向けてカスタムデバイス開発が盛んになる可能性があります。しかし、誰でも無料で使えるRISC-Vのメリットは、単なる小規模開発者の利益にとどまらず、「業界全体で生まれるエコシステムにこそある」という意見が支配的です。

RISC-Vが長期的な視点で成功するかどうかは、それを支える強力なソフトウェア・エコシステムにかかってきます。Siemensのマーケティング担当ディレクターのニール・ハンド氏は、「RISC-VのエコシステムはまだArmほど充実していませんが、その他のサードパーティのもつIP(知的財産)を凌駕しつつあります。これは、業界基準となるRISC-Vを採用し、RISC-Vプラットフォームに移ってきた、注目を集めるIPベンダーを含めた多数の企業のおかげです」と述べています。