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 フェイスブック(FB)の「いいね!」やツイッターのフォロワー(閲覧者)の数。

 インターネット上の共感や信頼度を測るこうした指標を売買するビジネスがある。「いいね!」の数を商品やサービス購入の際の参考にするという人が増える中、専門家からは「広告であることを隠すステルスマーケティング(ステマ)ではないか」との指摘も出ている。

 「これまで500社以上に売った」。1年半前から「いいね!」やフォロワーの「数」を通販サイト「ギークワールド」で売り始めた大阪市の男性(28)は打ち明ける。「いいね!」5000人分で3万7980円、フォロワー5000人は2万9980円。収入は月50万円。顧客は飲食店やタレント、情報商材の業者などだ。注文が入ると提携する米国の会社に連絡し、この会社が手配した「サクラ」に日本の顧客のサイトにアクセスして「いいね!」などを増やしてもらう。「米国人だから日本語のサイトは読めないと思うが」と笑うこの男性に、「消費者をだます行為では?」と質問すると、「そうかもしれない。でも違法ではない」と話す。

 現金や懸賞をニンジンのようにぶら下げる作戦も。

 東京都内の会社が運営する会員制サイトは、「いいね!」を増やしたい企業と、小遣いを稼ぎたい人の橋渡しをする。登録企業は約100社で、数十万~数百万円の広告料を払う。会員は1クリックで10円程度に交換可能なポイントをもらえる。約350万人いる会員の大半は主婦という。

 ヤフー子会社の運営サイトでも企業の懸賞コーナーが人気だ。旅行や航空券が当たる懸賞に参加するには、その企業の「いいね!」をクリックする。これまで1万3000社以上が参加。「いいね!」を1万以上増やした企業もある。

 なぜ評価を水増しするのか。10万円払って主催する勉強会のページの「いいね!」を1000人分増やした男性(48)は「多いと、みんなに認められている気がする」と話す。電通が昨秋、ネット利用者約1000人に実施した意識調査でも、「いいね!」などソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上の評価をもとに「商品を購入した」と答えた人が21%に上った。担当者は「SNSは自分とつながりのある人の集まり。仲間も評価しているなら安心と感じる」とみる。

 こうした「水増し」について、広告に詳しい山口浩駒沢大教授(経営学)は、「消費者を誤認させるステマと同じ」と批判する。ステマを巡っては、昨年1月、飲食店の口コミサイト「食べログ」で業者が客を装っての投稿が発覚。消費者庁は景品表示法のネット取引に関する指針を改正し、こうした書き込みを問題と指摘した。ただ、山口教授は「消費者も、ネットの評価に惑わされず、自ら判断する力を養うべきだ」と話す。

(2013年7月27日14時59分 読売新聞)