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私と経済の掲示板

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中国の体制保証は6中全会開幕直前

対米関係の緊張と付随する欧州連合(EU)など自由主義陣営との関係悪化は、共産党員ばかりではなく、一般国民にとっても大きな不安だった。これはサプライチェーン(供給網)分断の恐れなど様々な形で経済に影響しており、企業人も裏で不満を口にするようになっていた。

対米外交に関する成果の欠落は、習に重くのしかかっていた。歴史決議に547カ所もの修正を加えたのも、危うい雰囲気を感じ取った長老らの強い懸念と無関係ではない。習にとって対米関係の微調整は、内政上から考えても21年後半の最大の課題だった。

圧力を感じた習は、自らの体面も保ちつつ、国民の自尊心を満足させる方法を考える必要があった。これが交渉を担う外交トップ、楊潔篪(ヤン・ジエチー)らに課された宿題だ。そこで中国側が最もこだわったのが、バイデンから中国の現体制を壊すつもりはないという確約を取り付けることだ。

対中政策の目標は中国に根本的な変革を求めることではない。そうだとすれば事実上、バイデン政権によって中国独自の社会主義体制が保証されたことを意味する。8日開幕の6中全会で、鄧小平以来の慣例を踏み越える権力集中を打ち出す習へのこれ以上ないプレゼントになったのは間違いない。

中国の求めに応じたサリバン発言で習は安堵し、初めての米中首脳オンライン協議の実現が最終的に固まった。これで「鄧小平超え」を意味する歴史決議の中身公表と、米大統領と互角にわたり合える姿をともに共産党内と国民に誇示できる準備が整った。

とはいえ、中国が体制保証を求めるのは相当な違和感がある。それは国際的に孤立し、実力も不足している北朝鮮が米国に必死で要求してきた内容だ。米国に追い付こうとする実力ある中国が今、口にするとすれば、強気の態度とは裏腹に、かなりの危機感があるとみてよい。