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■仏の黄色いベスト運動も燃料税増税が引き金

オーストラリアで繰り広げられたこの政治パターンは、今や欧米全土で再現されそうな状況だ。

欧州では温暖化対策の促進を訴える草の根運動「エクスティンクション・レベリオン」がリベラル派をひきつけ、大きな運動としてのうねりを巻き起こしている。スウェーデンの16歳の環境保護活動家であるグレタ・トゥンベリ氏は、政治的にも名前を知られるようになり、最近では米国左派の新星、オカシオコルテス下院議員とも連携する。同議員は気候変動対策を政策の中心に掲げている。

最近のある調査によると、米民主党支持派の間では、銃規制や医療保険よりも気候変動が最大の関心事だという。ドイツでは緑の党が躍進している。誰が見ても決して極左とは呼べない英国のメイ首相でさえ、退任を控えた最後のG20サミットで、地球温暖化に対してもっと迅速な対策を取るべきだと訴えた。

欧米の人々のこうした意識から見て取れるのは、気候変動を政策の中心に据えることは、単に左派だけが倫理的になし遂げるべき問題だと考えているわけではないということだ。やり方によっては、政治的に成功をもたらす突破口にもなり得る。しかし、環境問題を政策の中心に据えると、有権者のとんでもない反発を招きかねないという危険な兆候もある。

この数カ月間、フランスを揺るがした都市部の反政権デモ「黄色いベスト」は、政府が燃料税の引き上げを決定したことが引き金になった。マクロン大統領は、この増税が地球を救う戦いに必要な一歩だと考えた。だが黄色いベスト運動に参加した人々は、この決定をフランスの田舎や地方の小都市に暮らす人々の生活水準とライフスタイルに対する攻撃と受け取った。

フランスでもオーストラリアと同様、移民問題に続き気候変動問題が、価値観の違いを巡る新たな衝突の火種として急速に表面化しつつある。都市部のリベラル派が変化の必要性を声高に訴えれば訴えるほど、国家主義的なポピュリスト(大衆迎合主義者)たちは、気候変動を巡って"エリート"を一層攻撃することで支持を伸ばそうとするだろう。