ここから本文です
投稿一覧に戻る

世界史の掲示板

東北大大学院理学研究科地学専攻の海保邦夫教授(現・東北大学名誉教授)らの研究チームによるもの。詳細は、米国地質学会が刊行する「Geology」に掲載されるに先立ち、電子版に掲載された。

地球上の生命は約40億年前に誕生したとされ、それから現在までの間に、全生物の大半が絶滅する大量絶滅が5回起きたとされ、「ビッグファイブ」と呼ばれる(6回起きたと数える研究者もいる)。

約6500万年前に巨大隕石の衝突で恐竜を初めとする多くの生物が絶滅したときは、地球上の全生物種のうちの約70%が滅んだとされる。しかし、それは“まだ少ない方”で、ビッグファイブ中で最大の被害を出したのが、約2億5000万年前のペルム紀末の大量絶滅だ。このときは90%以上の生物種が絶滅し、地質学的年代も古生代から中生代へと切り替わることに。一歩間違えれば、我々人類の遠い祖先も絶滅していた可能性もある全地球規模の大災害だったのである。

その環境激変と絶滅の原因の研究が世界中で活発に行われており、現在、有力とされる説が、シベリア東部のバイカル湖の北に広がる直径約2000kmの火山岩地域での火山活動が原因というものだ。この“シベリア火山大規模噴火”は、その噴火したマグマの量から推定すると大規模な噴火が数百万年もの間続いたとされ、大気中を火山性のエアロゾルが大量に漂って太陽光を遮断し、植物が枯死したことで、陸上生態系が崩壊。また植物の枯死により、土壌が海洋に流出して海洋環境を大きく変えた結果、海洋生物もその大半が絶滅するに至ったとされるものだ。

シベリア火山大規模噴火が有力とされる証拠は、シベリアの火山岩の放射年代と中国の大量絶滅を記録した地層の放射年代が一致したことと、火山噴火により供給される水銀の濃集がその地層で見つかったことだ。しかし、必ずしも研究者全員がこの説に納得しているわけではなく、疑問点も指摘されている。前者の放射年代測定の一致に関しては実際には誤差があり、正確には同時とはいえないという。また後者の水銀は、生物に濃集しているので、原因にかかわらず陸上生態系崩壊が起きれば土壌や死んだ植物から供給されるので不確かだとされている。