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明(min)のゴミ箱の掲示板

>>173

バイデン以前からアメリカは病んでいた
 2016年のトランプ氏大統領当選後の執拗な引きずり下ろし作戦を考えればその時から、米国は病んでいたとも思える。

 もちろん、トランプ氏が2期目の大統領を務めていれば、バイデン氏よりはるかに上手に危機に対処したと思うが、「米国に数十年もの間巣くう病魔」を簡単に退治できたとは思えない。

 選挙不正疑惑はともかく、結果的にバイデン氏を当選させたのは米国社会そのものとも言えるからだ。冒頭で述べたように、実は、米国経済はべトナム戦争(の事実上の)敗戦後、延命されていただけなのかもしれない。

 現在の米国経済の主要な部分を占めるのは、IT(インターネット)などのデジタルと金融であるが、どちらも言ってみれば「虚業」である。だから、農業、漁業などの第1次産業はもとより、第2次産業の製造業などのようなしっかりとした存立基盤が無い。

 5月6日公開「日本の『お家芸』製造業、じつはここへきて『圧倒的な世界1位』になっていた…!」で述べたような日本とは全く産業構造が違うのである。

 デジタルも金融も、「金が金を生む」構造で、一握りの成功者に富が集中する。IT成金と一般労働者の富の格差は天文学的な比率だ。

「先富」に続かない
 習近平政権が「ネオ毛沢東主義」を推進し「共同富裕」を打ち出すのも、1985年頃から鄧小平が唱えた改革開放の基本原則である「先富論」が、いまだに「先富だけ」に終わっているからである。

 鄧小平が唱えたのは「豊かになれる人が先に豊かになって、他の人はそれに続く」ということだが、「先に豊かになった人が益々豊かになるのに、残った人々が取り残されるどころか『先富階級』に搾取されている」有様だ。

 だから、我々先進国の人間には理解しにくいが、中国国内での「人権無視の独裁者である習近平氏」支持派はかなりいるのである。

 実は同じ構造が米国にも存在する。ITや金融で「先富階級」になったのは、ごく限られた一部の人々だ。しかも、ウォールストリートなどの金融はもちろんのこと、デジタル分野でも大概の成功者は高学歴で元々豊かな家の出身だ。決して貧困家庭の生まれではない。

 米国に限らず、日本や先進国が発展したのは「分厚い中間層」が存在したからだが、米国における中間層は失われつつある。

 極端な金持ちと大多数の貧しい人々で構成される経済は発展途上国によくみられるが、米国も共産主義中国同様「発展途上国型経済」に回帰しているのだ。

 だから、3月13日公開「最強通貨・ドル、じつは間もなく『紙くず』になるかもしれないワケ…!」、で述べたことが起こる可能性も否定できない。

米国が再び震源地になるかも?
 共産主義中国の経済崩壊は間違いがなさそうだが、これまでに述べてきたようにバイデン政権ではその流れが米国に及ぶことを食い止められないであろう。

 それどころか1929年のNY株式大暴落に続く世界恐慌のように、「震源地が再び米国」になる可能性さえ否定できないと思う。

 例えば、2001年からの「対テロ戦争」に米国が投じた費用は8兆ドル(880兆円)、死者は90万人にのぼると、米ブラウン大のプロジェクトが試算している。日本の年間GDPが500兆円ほどであるからとてつもない金額だ。もちろん、中国恒大の負債と見積もられる33兆円の比ではない。その巨大な費用が、何も生まないでただ消えていくのだ。

 アフガン撤退失敗で、「対テロ戦争」を最初からやり直さなければならない公算が強くなってきたが、どのように対処するのかが「米国の今後」を左右するだろう。テロ戦争の舞台はアフガンだけではなく、米国のショッピングセンター、学校、職場なども含まれるから逃げることはできない。

 そして我々も、中国はもちろんのこと、米国が崩壊したらその激震から逃れることはできないのだ。

大原 浩(国際投資アナリスト)