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東京電力ホールディングス(株)【9501】の掲示板 2022/07/27〜2022/07/28

カチカチ山の泥舟タヌキ

あるところにおじいさんとおばあさんがいました。
タヌキが畑でいたずらを繰り返していました。
おじいさんがたぬきを捕獲しました。
おじいさんがたぬきを「たぬき汁」にしようと、おばあさんに託しました。
たぬきはおばあさんを騙して殺してしまいました。
たぬきはおばあさんを「ばばあ汁」として料理してしまいました。
たぬきはおじいさんを騙して「ばばあ汁」を食べさせました。
おじいさんに相談された友だちのうさぎは復讐をすることにしました。
うさぎはたぬきを芝刈りに誘い、背負った芝に火をつけました。
やけどを負ったたぬきに、うさぎはとうがらし入りの味噌を薬だと偽って背中に塗り、たぬきは痛みで苦しみました。
うさぎはたぬきを漁に誘い、泥の船に乗せて海で船が溶けて溺れさせます。
溺れてしまいそうになり、うさぎに助けを求めたたぬきに対し、うさぎは艪でたぬきを沈めて溺死させて物語が終わります。

あんまりじっくりと読んだことがなかったので、このような残酷かつ考えさせられる物語だということを初めて知りました。
絵本にするには恐ろしいストーリー。
最初に驚愕させられるのが、たぬきがおばあさんを騙して殺し、あろうことか料理して「ばばあ汁」としておじいさんに食べさせてしまうところ。これは小学生が絵本で読むような話ではない、世にも恐ろしいホラーな話です。おじいさんは美味しい美味しいと食べてしまってから、それがおばあさんだと明かされるのです。おじいさんの悲しみやいかに。単におばあさんを殺されてしまうだけでも深い悲しみと、憤怒するところなのに、それを騙されたとはいえ自分が美味しいと食べてしまうのですから、自分をいくら責めても救われません。


たぬきはまったくうさぎのことを疑っていません。つぶらな瞳でうさぎとの芝刈りを楽しんだ帰りのように見えます。
たぬきの極悪非道な所業で、読者にたぬきへの憎悪が増したところで正義の味方としてうさぎが登場します。おじいさんを苦しめたたぬきを成敗することになりますが、そのやり方が陰湿ないじめのようです。背負っていた芝に火をつけるくらいならばまだしも、薬だと称してとうがらしを塗るという、簡単に鉄槌を打ち下ろして一思いに成敗するわけにはいかないぞ、という苦しみを与え後悔させてから死なせるという意図を感じさせます。


ネットで炎上してもおかしくないほどのいじめに見えます。
さらに、最後は泥船に乗せて溺れそうになるところで、助けを求めたたぬきを慈悲のかけらもなく叩き落として溺死させます。どうしても一思いに殺すわけにはいかなかったのでしょう。

このようにそもそもはたぬきが悪いのは明らかですが、うさぎの成敗の仕方も相当いじめを助長しそうなやり方です。必殺仕事人でも、極悪人を一思いに殺します。これがたぬきもうさぎも多くの人に親しまれて、可愛いキャラクターで掲示されていたり、キャラクターグッズが売られているのですから、相当シュールな印象を受けました。


泥の船が沈んでいき、うさぎに助けを求めても、叩き潰されて溺死してしまう直前とは思えない表情です。
なぜたぬきは何度もうさぎの言いなりになったのか。
考えてみると、たぬきは背中の芝に火をつけられたのに、なぜ薬だよと言われてうさぎの言いなりにとうがらしを塗られたのか。さらには、そんなうさぎに誘われて漁に出たのか。最後も、うさぎに助けを求めて無慈悲にも叩き落とされて死んだのか。



普通に考えると、うさぎが言葉巧みに騙したのだという解釈も取れますが、太宰治はたぬきはうさぎに惚れていたのだということで、「お伽草紙」美少女と男の物語として描いているようです(読んでません)。



そんなの知っているよ、という方が多いのかもしれませんが、私はカチカチ山のパネルを改めてよく読んでみて、その物語の恐ろしさに触れ、ここから私は何を学ぶべきかを考えました。

この物語は、報復の連鎖を描いているのだと理解しました。たぬきにいたずらをされたおじいさんは、自分に直接的に危害が及んでいないのにも関わらず、たぬきの命を奪い、さらには食べてしまうという報復手段にでようとしました。それが裏目に出て、最愛の人を失うばかりではなく、食べてしまうという世にも悲しい物語を生み出してしまいました。

たぬきは自分が殺されて食べられてしまうという事態から逃げ出すだけでなく、そのような事態を引き起こしたおじいさんへの報復として、最愛の家族を奪い、精神的に追い詰めるために食べさせてしまうという報復を選択しました。その結果として、たぬきはおじいさんの意を受けたうさぎの報復を受けることになります。

もしも、おじいさんがたぬきを諭すだけにしていたら、たぬきが拘束から逃れて2度と姿を現さなかったら。このような報復の連