ここから本文です
Yahoo!ファイナンス
投稿一覧に戻る

澁澤倉庫(株)【9304】の掲示板 2015/04/29〜2021/10/30

>>748

■閑散期も含め保管契約を通年化

商品の保管状態なども含めた輸送品質への目が厳しくなっていることもあり、荷主側は「ただ置いてくれればいいわけではない」(大手メーカー)と倉庫会社を選別する傾向がある。

業界慣習もあり、輸送コストの増加を単純に保管料に価格転嫁することはできない。そこで渋沢倉庫は閑散期も含めた契約の通年化に目を付けた。物流業界はクリスマスシーズンが終わると急激に需要が減る。12月下旬から2月下旬にかけての冬季の売り上げは「繁忙期の6~7割」(渋沢倉庫)で、業界では構造的な収益低下の要因になっている。

荷主にとってはスペースの確保と保管品質への信頼性が最優先。倉庫業界ではあまり一般的ではない契約が、一部の荷主との間で成立した。大口の荷主専用に倉庫を確保する場合は積極的に提案し、「足元で全体の1割ほどは通年契約に切り替わった」という。

通年契約では採算が取れなくなる倉庫がほとんどなくなり、これまで見通しづらかった年後半の売上高予測が立ちやすくなった。安定した収益は積極的な設備投資の原資とする。

渋沢倉庫は昭和40年代に、自前トラックによる陸上運送を財閥系倉庫に先駆けて始めた。ビールを中心とする飲料や日用品で取扱量を増やし、足元では物流事業の売上高588億円の過半を占めるまでに成長した。

消費財の取り扱いが増えたことで缶やペットボトルに販促グッズを取り付ける流通加工も伸び、19年3月期の連結売上高で過去最高の646億円の達成に貢献した。

過去には2度の株式買い占めに遭い、渋沢の名が消滅しかけたこともあった。同業他社と合併の可能性も浮上したが、銀行や株主の支援でなんとか乗り切った。

全国の主要港に倉庫や港湾施設を構え、陸海運と組み合わせた総合物流業として成長を続けている。海外では香港やベトナムなど7支店を広げる。大隅社長は「上場企業では唯一、渋沢の名を冠した会社。名前を残さなければという使命感は強い」と強調する。

渋沢倉庫の設立前、銀行は融資先から担保として預かった鉄や生糸を倉庫で保管していた。渋沢が設立に関わった第一国立銀行(現みずほ銀行)には倉庫がなく、融資先から預かった担保の米穀を倉庫業者に横流しされる事件にも遭った。