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トレイダーズホールディングス(株)【8704】の掲示板 2016/03/25〜2016/03/27

1月26日の記事です☆彡
お読みになってない方はご参考にしてくださいませ。


広がる生体認証市場の可能性

機械学習などを駆使し、100万人、1000万人の識別、認証を瞬時に実行する生体認証エンジンを手がけるLiquid(リキッド)が、指や手のひらだけで認証、決済の用途を開拓している。金融機関や住宅設備メーカーなどと協業し、ATMやPOS、改札機などから住宅へと広げている。

指だけで決済するLiquid

 2015年10月31日、長崎県佐世保市のハウステンボスが指をかざすだけで、飲食や買い物ができる園内地域通貨のテスト導入を始めた。リキッドの生体認証技術とクラウドサービスを使って、入場口で指紋の登録とチャージした顧客が手ぶらで園内の店舗で決済できるというもの。店舗は、決済量とトランザクション量に応じて使用料を支払う仕組み。

 リキッドの久田康弘代表取締役は「自分の指だけで買い物をし、店員から『ありがとうございました』と言われる体験に感動する」と、財布もカードも持たない新しい世界を嬉しそうに話す。都内のフィットネスクラブや居酒屋チェーン、ホテルチェーンなどにも導入されている。

 久田氏は、居酒屋チェーンを例に顧客管理に生体認証のメリットを説明する。来店客に専用カードを配っても、次回の来店時にカードを持ってこなかったり、捨ててしまっていたりしても、指で決済までできれば、顧客満足度を高められる。

 前回の来店日やボトルの量などの来店時に顧客情報を画面に表示し、アルバイトに「田中さま、ありがとうございます。前回の魚料理はいかがだったでしょう。本日は新鮮な野菜料理も用意しております」などといった接客も可能になるという。

 用途は広がっている。15年12月に提供を開始した生体認証のクラウドサービスは、パッケージソフト会社や金融機関、人材会社などで活用され始めたところ。海外の導入事例も増えている。フィリッピンのある国立大学は、約5000人の学生の講義出欠や食堂の決済などに、スリランカのあるホテルグループはルームキー、レストランなどの決済にそれぞれ使っている。

 大掛かりなことにも挑戦している。総務省が進める数十万人を対象にした実証実験に参画し、地域通貨構想や災害時における決済の活用、マイナンバーとの連携など、新たな都市の可能性を探る。

30歳の久田氏は、高校時代から統計を学び、FX(外国為替証拠金取引)の自動売買システムを作ったりしたという。大学卒業は金融機関に入るが、「リーマンショックで、目指したトレーディング機能の職場がなくなった」のを契機に退社し、「大規模なデータを使って、社会問題を解決」するビジネスを考え始めた。

 13年2月に、その中で軌道に乗った人を識別する生体認証の事業化に向けてリキッドを設立。創業早々から生体認証の実証実験を重ねてきており、総務省の案件はその1つになる。

 リキッドの開発・販売はポスドクを含めた約20人(15年12月時点)の人員で取り組み、最近は生体認証のベースになる画像解析の技術をマーケティングにも応用する。デジタルサイネージで顔を解析し、好みの商品を表示したり、視聴者の観たい番組を自動的に編成、配信したりすることなどだ。

 「将来は、どこか1カ所で指紋登録するだけで、数多くの施設や場所の認証や決済に利用できるようにしたい」と、久田氏は財布もカードも持たずに買い物や飲食をし、電車に乗り、映画を見るといった“夢”の世界を語る。その実現に向けてのコンソーシアム立ち上げを計画。「金融機関や住宅設備メーカーなどと組めば、スマートシティとFinTechを組み合わせた新しい街の機能も考えられる」(久田氏)。

 その一環から金融機関が集める東京・大手町に事務所を15年の末に移転した。16年2月にはショールームを開設し、8月までにATMやPOS、ドアなど生体認証の活用をイメージしやすい展示にする計画。久田氏は「システムは入れてから改善を続けていることで、その満足に対する対価を支払ってもらうもの」と、ITサービス事業の新しいビジネスモデルを志向する。