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任天堂(株)【7974】の掲示板 2019/07/27〜2019/07/31

【日経の悪い癖】

日経大阪経済部川崎なつ美氏の署名記事がこちらの掲示板にも転載されていますが(←有料記事ですが大丈夫ですか?),決算前に作った文章に無理やり決算書の事実をねじ込んだ形になっていて,その恣意性があまりにひどいので一応指摘しておきます。

まず見出し。「任天堂、4~6月期46%減益 「スイッチ」延命策カギ」とあります。決算を知らない人が見るとSwitchの売れ行きが鈍って減益になったように見えます(そういうシナリオを想定していたのでしょうが)が,Switch本体の販売数は前年同期比で188万台→213万台,ソフトは1,796万本→2,262万本と伸びています。なぜこれに一言も触れないのか理解に苦しみます。


以下記事中の文言について。


>ゲームの高性能化に伴い研究開発費が増えたほか、為替差損も響いた。

研究開発費については当初の見込みで年間750億円を見込んでおり,これは前期比で50億円強の増になっています。それで今四半期が前年同期と比べて10億円の増になったからといって経営の失速要因として挙げるのは適切ではありません。

100歩譲って「為替差損『が』響いたほか……」ならまだ我慢できますが,経常利益に与えた影響の主従をひっくり返してまで自説に誘導しようとする文章はいかがなものでしょうか。


>スイッチの売れ行きは爆発的な人気から失速したWiiと重なり、株主は不安になっている。

私も株主ですが不安になっていません。総会の質疑応答で不安になったなら株を売ればいいだけですし「不安」が株主の総意であるならあの時点から今日までの株価の好調も説明できません。


>一般的にゲーム機は発売から2~3年目がピークとされる。

以前,OSやプラットフォームごとに全取り換えになる時代はそうだったかもしれません。また,Switchの初代機だけに関して言えばそうかもしれません。が,3DSをやめてまで携帯から据え置きまでカバーする単一のプラットフォームとして立ち上げたSwitchの今後の展開をそうした過去の据え置き機ビジネスと同一視したうえで今でも続く真理のように言い切るのはお止めいただきたい。


>ただ、例えば、既にスイッチを持っているユーザーがライトを追加購入して2人同時に対戦ゲームを遊ぶような場合はもう1本ソフトを買う必要がある。

Switchを持っているユーザーがLiteを買い増しする際になぜ対戦相手のソフトまで買う必要があるのでしょうか?


>これまで販売した対戦型などのヒットゲームを買い直す需要も見込めるというわけだ。

1人が同じソフトをもう1本買うような需要はさすがにないでしょう。アカウントやライセンス管理のしくみをわかって書いているのでしょうか?


>今年後半以降に発売されるソフトは「ポケットモンスター」シリーズの新作「ソード・シールド」や「あつまれ どうぶつの森」など携帯ゲームと親和性が高いタイトルが目立つ。

Liteの投入とセットで考えている計画ですから当たり前です。3DSでのみ任天堂と付き合いがあった携帯ユーザーをSwitchのプラットフォームに呼び寄せる戦略であり,あなたが憂慮する「延命策」(本来は「拡大策」と呼んでほしいですが)の具体案がここにあることに気付いてください。更に言うならLiteと同時発売の「夢を見る島」(元々ゲームボーイ時代のソフトでゼルダの携帯版といえばこれ)で「携帯ユーザーさんもこちらへ」と強いメッセージを発したこともきちんとご紹介いただきたい。


>ただ、スマホやパソコンでのゲームが定着した中国市場でゲーム専用機がどこまで受け入れられるかは未知数だ。

「未知数」の市場にイチかバチか勝負をかける間抜けな会社だと思われているのでしょうか。一般的にそう思われている市場に任天堂もテンセントもなぜビジネスを展開しようとしているのか少しはリサーチして記事にしていただきたい。

また,任天堂のIPパワーとゲーム自体が本来的に持つ面白さのレベルを,超精緻画像で殺戮を繰り返す「AAA」ゲームや重課金でゲームバランスを一変させてしまうようなゲームもどきと同列に扱わないでいただきたい。

中国当局が排除したい内容やテンセントなどが策定した自主規制をよく考えて,その中でこの先生き残るビデオゲームコンテンツを提供できる会社はどこなのでしょうかね。


>スイッチのゲーム機としての賞味期限を伸ばしてどう稼ぐのか、任天堂の次の一手に注目が集まる。

確かに注目は集まっていますが,あなたもしっかり注目してまともな記事を書いてください。株主が注目しているのは「スイッチの『ゲーム機としての』賞味期限」ではなく『プラットフォームとしての』賞味期限ですし,「どう稼ぐのか」については「数年サイクルのゲーム機一新ビジネス」や「年末集中型の売上」からの脱却を図ってIP資産の活用も含めた収益構造の改革を進めているはずです。Wiiのときのような商売がずっと続くわけではないのですよ。


……すみません今回も長文になってしまいました。それにしても最近の日経はひどいなぁ。