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  • >>563

    全固体リチウムイオン電池は、電解液の代わりに固体の電解質を使用する。液体を使わないことで、安全性の向上と小型化を両立できるのが大きな特徴だ。電解質が液体でないため、液漏れの可能性がなく、発熱などによって可燃性ガスが発生しない。

     また、固体電解質は電池を複層化しやすくなり、小型化しながらエネルギー密度を高められる。固体電解質は温度変化による影響を受けにくいという特徴もある。さらに、陽イオンのみを移動させるため副反応が抑制されて劣化しにくい。

     日立造船は全固体リチウムイオン電池の用途として自動車や医療機器の電源、定置用、宇宙など幅広く見込んでいるが「最も関心を寄せているのは、リチウムイオン電池の小型化と安全性向上に対する期待が高い自動車業界だ」(日立造船の説明員)という。同社の全固体リチウムイオン電池の評価には本田技術研究所をはじめとする複数の企業が参加している。

     全固体リチウムイオン電池を開発する上では、日立造船のプレス技術が大きな役割を果たした。日立造船はプラントや産業機械を主力とするメーカーで、自動車などに向けた中/大型のプレス機を手掛けるグループ会社も持つ。開発した全固体リチウムイオン電池は、材料は外部企業から調達しているが、固体電解質の材料粒子を薄膜に加圧成型する際に自前のプレス技術を活用している。

     これまでに研究されている全固体リチウムイオン電池は電解質の材料粒子間のイオン伝導性を保持するために機械的に圧力を加えながら充放電させる必要があった。これに対し、日立造船が開発した全固体リチウムイオン電池は、プレス技術を生かして電解質を加圧成型することでイオン伝導性を向上したため充放電時の加圧が不要になった。