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シャープ(株)【6753】の掲示板 2017/07/26〜2017/07/27

鴻海、米液晶工場に1.1兆円投資 苦境トランプ氏に食い込む
日本経済新聞2017/7/27 21:09
アジアニュース
 【台北=伊原健作】台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の米国投資が本格始動した。郭台銘董事長は26日、ウィスコンシン州での大型液晶パネル工場建設などに100億ドル(約1兆1000億円)を投じると正式に発表した。雇用創出や貿易赤字削減に貢献することで、苦境が続くトランプ米大統領に食い込み、米国で中国に次ぐ生産基地を築こうとしている。

 米ワシントンのホワイトハウス会見場。郭氏は腰をかがめてトランプ氏の手を固く握った。「米国製造の理念を実現すべく力を尽くす」と強調し、パネル工場を手始めに超高画質の放送規格「8K」や次世代通信規格「5G」関連の生産基地を築く構想をぶち上げた。

 今後4年間で100億ドルを投じ、世界最先端の「10.5世代」の液晶パネル工場を建設。大型テレビを一貫生産する体制を整える。パネルや映像技術は医療機器や自動運転車といった多様な分野にも展開し、関連産業の生態系(エコシステム)を築く構えだ。昨年買収したシャープの技術力が戦略を後押しする。

 鴻海は中国各地に巨大工場を置き、2000年代以降は米アップルからスマートフォンの生産を請け負い急成長した。直近では人件費高騰などで戦略転換を迫られていたが、今回の投資で米国を中国に次ぐ成長の舞台に位置づけたといえる。

 鴻海は中国最大の輸出業者とされ、製品の主要な消費地は米国。トランプ氏が目の敵にする対中貿易赤字を生み出してきた張本人でもある。支持率低迷で苦境のトランプ氏にとっては、鴻海の生産拠点を米国に引き寄せることは大きなアピールにつながる。郭氏は世界で保護主義が台頭する中、「製造業は鍵を握る」と自社の優位性を主張してきたが、内向きの米国で実際に行動で示した格好だ。

 投資地域の選定では7州程度が激しく争い、最終的にウィスコンシン州が勝ち取った。郭氏はトランプ氏だけでなく州知事らと直接交渉し、土地や電力などの料金で有利な条件を引き出したとみられる。

 今後はパネルの部品や生産設備などの供給網(サプライチェーン)を築けるかが課題となる。鴻海は中国・広州でも世界最大規模のパネル工場を建設中だ。中国勢も増産投資を急いでおり、パネルのサプライヤーの余力は乏しい。「ガラスをはじめ液晶パネルの供給網をゼロから整えるのは容易ではなく、鴻海の本気度を見極めたい」(台湾のアナリスト)との指摘もある。