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(株)東芝【6502】の掲示板 2017/07/31

――WSJコラムより

東芝は法的整理という思い切った選択肢で新たなスタートを切れる可能性がある。名案だが、同社は迷走を続ける方を選びそうだ。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、事業再構築に関与する複数の人物が、再生に向けた最善の道は法的整理だと主張していると伝えた。東芝は原子力事業の損失がたたって債務超過に陥っている。債権者に対する債務の整理を進めるなか、法的整理を認められれば一服の余地が増えそうだ。資金調達のために半導体事業の売却を模索しているが、合弁相手の米ウエスタンデジタルによる訴訟で実現は遅れている。
だが売却を完了しても東芝の自己資本はようやくプラスになるだけだ。同社はなお、他のさまざまな未確定債務に見舞われるかもしれない。例えば、2013年に米国で交わした20年間の液化天然ガス(LNG)契約では、19年からテキサス州フリーポートで天然ガスの液化が始まる。アジアのLNG価格は契約後に下落しており、東芝は巨額の損失を負いそうだ。目玉の半導体事業を売却した後は、収益力の劣る事業でそうした損失を穴埋めすることになる。
法的整理により保護を受ければ、東芝が債務の再交渉の余地を得て、穴埋めのために事業の投げ売りをするのでなく債権者を優良事業に参加させることもありうる。2010年に会社更生法適用を申請した日本航空がいい例だ。

しかし、言うはやすし、である。破綻処理はイメージが悪いため、日本企業では珍しい。他に手段がない場合は別として、銀行は債務超過の企業を生き永らえさせたがる。損失を認めれば幹部の首が飛びかねないためだ。ファクトセットによると、東芝の債権者である日本の3大銀行は、同社株を3.2%保有している。東芝の株主が権利を失えば、追加的な損失が出ることを意味する。東芝には今のところ流動性の問題はないようだから、3行は危機が過ぎるのを待とうとするかもしれない。
国内外の政治的反発も問題を複雑にしかねない。不採算事業からの撤退は多くの雇用喪失を招く恐れがある。東芝は原子力子会社ウエスチングハウスに対する保証に関連して、原子力発電所を運営するサザンに36億8000万ドル(約4000億円)を支払うことで合意しているが、これを破れば米政府の怒りを買いかねない。
東芝は原子力事業のごたごたから生まれ変わるのではなく、放射能まみれのゾンビにとどまりそうだ。