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日本農薬(株)【4997】の掲示板 2017/10/11〜2019/10/31

引用の続きです。

本当に有機栽培のほうが美味しいのか?

有機野菜は美味しいと多くの人が信じている。安全性及び栄養に差異が無いとして、本当に有機栽培農作物の方が美味しいのだろうか?多くの人が美味しいというからには、実際に美味しい場合も多いのだと思われるが、その美味しさは栽培方法から来るのではなく、単に新鮮だからという事はないか。有機農家直送の有機栽培野菜は、新鮮な状態で家庭まで届けられる。同じ新鮮さならば通常栽培野菜も同じぐらい美味しいのではないか?

「日経レストラン」の2006年10月号では有機栽培農作物と通常栽培農作物の味比べをしているが、なんと通常栽培農作物の方が美味しいという結果が出てしまったという。これは栽培方法よりも、産地や品種、収穫日数などの他の要因が大きく寄与したからだと考えられる。少なくとも、有機栽培農作物の方が通常栽培農作物よりも美味しいというのは絶対的な真理ではあり得ず、その他の条件でいくらでも逆転しうるという事を認識しなくてはならない。

追記(2011/2/27)

食品安全情報blogさんで知ったのだが、消費者団体Which?は、"Organic vs non-organic"というリリースを発表し、有機栽培農作物と通常栽培農作物の比較試験を行った結果、通常栽培農作物のほうが美味しく、栄養価も高かったと報告した(Telegraph記事:Organic food less tasty than normal, watchdog says)。通常栽培ブロッコリーは有機栽培のモノよりも抗酸化物質を豊富に含み、通常栽培じゃがいもは有機栽培に比べてビタミンCの含有量が多かった。194人の専門家によるブラインドテイスティングによれば、通常栽培トマトのほうが有機栽培トマトよりもよりトマトらしい濃い味がするとされ、ブラインドテストに参加した一般人の69%が同意している。ブロッコリーとじゃがいもには味に差はなかった。

まとめ
どこのスーパーでも無農薬/低農薬/有機栽培農作物が入手できる事は、消費者に選択肢を与えるという点において素晴らしい事実である。しかし、それらの農作物が必ずしも安全なわけでも、健康に良いわけでも無いということは知っておくべき事だろう*7。確かに過去には危険性のある農薬が使われた時代もあったが、環境が整備された現代日本において健康に害が及ぶレベルの残留農薬を含む野菜が流通することはまず無い。

確実に新鮮で美味しい野菜を入手できる場合には、より高い対価を払ってでもこうしたプレミアム農作物を求める価値はあるだろうが、安全性や栄養をそれらに求めるのは現状ではあまり意味のある行動ではない*8。味に違いが分からないという人は、無農薬/有機栽培野菜を選択するのをやめるのも一つの選択肢だろう。少なくとも、無農薬/低農薬/有機栽培農作物への盲信は改めるべきだ。

世界的な食糧危機の中にあって、効率的な食料生産を実現する農薬の使用は理に適った方法である。少なくとも、何となく健康に悪そうだからといったイメージだけで否定されるべきものではない。適切に使用されている限り、農薬は人類に多大な利益をもたらす。「農薬=悪」という古いイメージだけが先行して一人歩きしている現状は、生産者にとっても消費者にとっても憂うべき状況であると思う。