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日経より



オリエンタルランド、注目集まる次の値上げ

オリエンタルランド(OLC)が運営する東京ディズニーリゾート(TDR)の集客が好調だ。夏場の酷暑や相次ぐ自然災害の影響が懸念されたが、ふたを開ければ、2018年4~9月期の入園者数は前年同期比5%増の1551万人と、同期間として最多になった。19年3月期通期では、15年3月期に記録した過去最高(3137万人)の更新が視野に入る。



半面、株価はこのところ上値が重い。入場者数の増加は混雑による顧客満足度の低下といった弊害も伴うからだ。来年度は東京ディズニーランド(TDL)の35周年という追い風もなくなる。株価が上値を追うためには、価格戦略がより重要になってくる。

35周年イベントで集客は過去最高を更新する勢いだ。
「(TDRの)チケット価格の改定は常に検討している」。OLCの上西京一郎社長は常々、こう強調する。ただし、「パークの価値が向上することを前提に」という枕ことばが必ず伴う。納得感のない値上げが顧客の反発を招くことを知っているのだ。例えば現時点で最後の値上げになっている16年4月は、その前年度にTDRでスティッチ・エンカウンターという新アトラクションが開業し、新たなショーも始めている。これが「パークの価値向上」にあたるわけだ。
そう考えると、次の値上げは19年度が有力なタイミングになる。東京ディズニーシー(TDS)で新アトラクション「ソアリン」が開業するからだ。20年春にはTDLでの「美女と野獣」エリアの開業も控えるうえ、19年10月には消費増税もある。

OLC内部では消費税率引き上げと同時に値上げする案が有力だ。増税分の転嫁も含め、現在7400円の1日券の価格が8000円台になるのは確実だ。

次の値上げは、これまでとは違った注目も集めている。一部の例外を除いて固定されているチケットの価格に変動制を導入するかどうかだ。



旅行代金が平日と休日で異なるように、欧米のディズニーランドでは繁閑によってチケット価格が変動するのが当たり前だ。日本でも、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)が19年1月から、繁忙期と閑散期の価格を変える仕組みを取り入れることを決めた。
繁閑で料金を変える狙いは、ヘビーリピーターなどをすいている時期に誘導するなどで、トータルの収入を最大化することだ。OLCでも「価格変動制は検討対象に入っている」(幹部)とし、シミュレーションを進めている。市場関係者も「需給に応じた値付けという考え方自体は合理的」(モルガン・スタンレーMUFG証券の竹村淳郎アナリスト)と語る。

だが、変動制によって実際に収入を増やせるかどうかは別の話だ。そもそも、混んでいる時期に高く、すいている時は安い価格は、OLCが基本とする「価値に見合った価格」という考え方とはそぐわない。来園者に、繁忙期と閑散期の価格差がいくらまでなら許容してもらえるかも未知数だ。

固定資産ビジネスでの収入最大化を目指す「レベニューマネジメント」に詳しい専修大学の青木章通教授は「来園頻度や園内での消費など全体のデータを集めることができれば、収入最大化に資する価格体系を導入できる可能性が高い」と解説する。そのうえで「OLCは細かなデータがまだ、足りない」と評価する。変動価格制をうまく機能させるには「あまり活用が進んでいない」(OLC関係者)という公式アプリの利用を促す施策などが必要になりそうだ。