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(株)ジー・スリーホールディングス【3647】の掲示板 2018/03/25〜2018/04/04

野菜高騰で植物工場に脚光、独自の強み持つ異業種参入

露地野菜の価格が高騰している。長期間に及ぶ天候不順が原因だ。そこで存在感を増しているのが植物工場で生産される野菜である。こうした状況を商機と捉える異業種が、植物工場事業への参入に乗り出した。

高騰が目立つレタス

2017年末から野菜の価格が高騰している。10月に日本各地を襲った台風や、その後の長雨と低温の影響で、関東をはじめ多くの産地で生育が悪化した。農林水産省の発表では、全国平均でレタスが平年に比べて2.4倍、キャベツとハクサイも約2倍に一時値上がりするなどした。


スーパーで販売される植物工場の野菜。天候に左右さないため、生産量と価格が安定している。露地野菜の価格高騰で注目が集まった
高騰が目立つレタスは、長雨で苗植えができずに生産量が大幅に減少した。晴天が少なかったため生育が悪く、店頭に並ぶレタスの多くが小ぶりである。

こうしたなか、消費者の注目を集めたのが、植物工場の野菜である。天候に左右されずに生産できるため、生産量や価格が安定しているからだ。

都府の亀岡工場で1日2万1000株のリーフレタスを生産するスプレッドでは、「17年末から多くのスーパーで品切れが続いている」(広報部の森田聖華氏)という。露地野菜は台風や猛暑などの影響を受ける。年間を通して今回のような状況が発生しているという。

コスト削減を狙って参入

この状況を商機と捉え、植物工場事業に参入する事業者が増えている。日本施設園芸協会によると、室内の人工光で栽培する植物工場は197カ所あり、7年前の3倍以上に増えた。

ただし、このうち半分が赤字である。植物工場の主な運用コストは、水道光熱費、人件費、減価償却費だ。新規参入企業は、これらのコストの削減を狙う。

三菱ガス化学は、19年春に福島県白河市の自社拠点内に1日3万2000株のリーフレタスを生産できる植物工場を建設する予定である。総投資額は20数億円で、実現すれば国内最大規模の植物工場となる。

レタスを生育させるのに必要な光源に蛍光灯ではなくLED照明を使い、電気代を削減する。同社は化学品の製造プロセスで培った環境制御技術に強みがある。野菜の生育に使う水や養分などを厳密に制御することで、水の使用量を従来工場の半分にする計画だ。

「完全自動化」に挑戦

キヤノン電子も植物工場事業への参入を検討している。19年に同社の赤城事業所(群馬県昭和村)の空きスペースを活用し、リーフレタスなどの生産工場を建設する構想を持つ。

同社は、生産から出荷までの工程を完全自動化し、人件費の低減を狙う。生産工程のすべてを自動化している植物工場はほとんどない。種まき、苗の植え替え、収穫、梱包など、小さい物をつかんだり、柔らかい物を運んだりする作業は、人手に頼らざるを得ないのが現状である。カメラ製造で培った精密機械ならではの繊細な自動化技術を応用し、人間で実施していた作業を自動化する。

植物工場事業に参入したものの、赤字で撤退する企業も多い。異業種で培った強みを生かしたコスト低減策が、事業の成否を決めそうだ。