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(株)アドウェイズ【2489】の掲示板 〜2015/04/08

「LINE」だけでないアドウェイズ

 インターネットの広告代理店業務を手掛ける東証マザーズのアドウェイズがスマートフォン(スマホ)の広告事業を伸ばしている。広告主であるアプリ開発業者の海外進出支援に力を入れるため、中国で新作アプリを事前予約できるサービスなどに乗り出した。無料対話アプリ「LINE」と広告の契約を結んでおり、株式市場では「LINE関連株」と騒がれることも多いが、その裏では海外進出を目指す国産アプリを囲い込む長期戦略の素地づくりに余念がない。

アドウェイズは中国で新作アプリの事前予約サービスを始めた(同社の中国語サイト)
 7月半ば。都内のセミナー会場にSNS(交流サイト)の巨人が集まった。フェイスブック、グーグル、ツイッターのスマホ向けのマーケティングの責任者らが登壇して聴衆に熱く呼びかけた。「日本発の優れたコンテンツを世界に発信するお手伝いをさせてほしい」「利用者同士のつながりを促す情報発信をすることで、アプリに大きなチャンスが生まれる」──。登壇者に劣らない熱意で聞き入っていた聴衆はゲームなどのアプリ開発事業者たち。交流サイトにゲームアプリ広告を出して利用者を集める。このセミナーは広告媒体である交流サイトの運営者と、広告の出し手のアプリ業者を結びつけるイベントだ。セミナーを主催したのがアドウェイズだ。セミナー後の懇親会では綿密に情報交換する参加者の姿が目立ち、実際に広告の商談につながりそうな案件もでているという。

 スマホの急速な普及でアプリの市場規模は順調に拡大を続けているが、一方で競争も激しさを増している。膨大な数の新作アプリの中から利用者に選ばれ、かつ利用され続けるためには効果的な宣伝が欠かせない。アドウェイズは細かなサービスでスマホ向けのアプリ広告需要を取り込んできた。2014年3月期のスマホ広告事業の売上高は122億円と12年3月期の13億円から2年で9倍超に伸びた。14年4~6月期は前年同期から6割増の37億円に増え、パソコン向けのインターネット広告事業(33億円)を上回った。仮想通貨の販売で広告代理店契約を結ぶ「LINE」に限らず、取引先の裾野は広い。2015年3月期の営業利益は10億円と前期比18%増を見込むが、そのけん引役はスマホ広告事業だ。

戦略市場と位置付けるのが海外だ。中国・米国など10の国・地域に拠点を持ち、スマホやネット広告を手掛けている。4~6月期の海外広告事業の売上高は9億円にすぎないが、「伸び率は日本を上回る勢いで伸び、早期の黒字化も視野に入ってきた」(岡村陽久社長)という。CyberZ(東京・渋谷)の調査によれば、中国のスマホゲーム市場は2016年に7780億円となり、日本の8238億円に迫る規模に成長する見込み。

 日本のゲームアプリ業者には開発ゲームを外国語に翻訳するなどし海外進出を目指す動きも広がっている。アドウェイズは彼らの潜在的な巨大市場への進出を支援することで広告契約を飛躍的に増やす戦略だ。

 スマホ向けの広告獲得のカギになるのが利用者のデータ分析だ。アドウェイズは広告主に提供するアプリ向け効果測定システムの機能を順次拡充し、インストール数の推移、利用者の行動などを分析できる仕組みを整えてきた。同じ体制を中国で構築するために、先月末に中国でアプリ向け効果測定システムやリリース前に新作アプリを事前予約できるサービスの提供に乗り出した。