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「これ以上、白人をいじめるな」トランプ支持者に広がるCRT批判という無視できない潮流
1/20(木) 10:16配信
プレジデントオンライン

2021年10月9日、米国アイオワ州デモインで開催されたセーブ・アメリカ集会で支持者と話すドナルド・J・トランプ前米大統領。この集会は、2020年11月の総選挙後、トランプ氏がアイオワ州を初めて訪問したことを強調している。

アメリカのバイデン政権が支持率低下に苦しんでいる。今年11月の中間選挙でも敗色濃厚だ。上智大学の前嶋和弘教授は「『批判的人種理論(CRT)』という人種差別に関する学校教育が、白人への逆差別を助長しているという主張が保守派のトランプ支持者らの間に広がっている」という――。

■既に中間選挙での敗北が予想されているバイデン政権

 今年11月に中間選挙を迎えるアメリカでは早くも「バイデン政権、危うし」という言葉が飛び交っている。

 中間選挙は大統領の4年任期の折り返し時期に行われる。下院の435人全員が改選になり、上院も100人のうちの3分の1の34が改選となる。日本でいえば衆議院選挙と参議院選挙のダブル選挙並みの大きな選挙だ。

 選挙結果によって大統領が変わることはないが、政権は過去2年間の実績に対して国民の審判を仰ぐ。

 この選挙には「方程式」がある。どうしても現政権に対する批判票が増え、その政党が大きく議席を減らすというものだ。

 現在、上下両院で民主党が多数派と言っても、上院は50対50、下院は9議席差と超僅差である。もしどちらかの院で共和党に多数派をとられたら、政権が進めたい法案は一気にストップし、国内政治の観点からは早くもレームダック化してしまう。

■トランプもオバマも足をすくわれた

 トランプ、オバマという前の2つの政権も政権発足時には上下両院いずれも自分の政党が多数派だったが、最初の中間選挙で大きく足をすくわれた。

 2010年の中間選挙の場合、当時のオバマ政権にとって、状況は深刻だった。民主党は何とか上院で多数派を維持はしたものの、6議席減。下院では63議席減となり少数派党に転じた。

 この63議席という数字は、議席減としては75議席が入れ替わった1948年以降、62年ぶりの最悪の数字となった。オバマ政権は最初の2年で大型景気刺激策、ウォール街改革、オバマケアの3つの大きな国内政策をまとめたが、中間選挙以降政策運営は行き詰まった。

 「何もできなかったオバマ政権」という日本でも広く伝わったイメージは2010年中間選挙以降、6年間の政策が停滞していたためだ。

 2018年、トランプ政権下の中間選挙では、共和党は上院では2議席増やしたものの、下院では41議席も民主党に奪われ、少数派党となった。メキシコ国境の壁建設やオバマケア撤廃などのトランプ大統領が掲げた大型公約は進まなかった。

■「民主党は学校で批判的人種理論を広めている」

 バイデン政権はこれまでコロナ対策とインフラ投資という2つの公約を実現させたが、やはり方程式に当てはまるというのが大方の予想だ。

 その上で、共和党側が進めている戦術いかんでは中間選挙での“大敗”が予想されている。

 それは、「民主党は学校で批判的人種理論を広めている」というものだ。

 「批判的人種理論(Critical Race Theory=CRT)」はアメリカ人にとっても、ついこの間までは聞きなれなかった言葉だ。というのも、学術的な場で人種を議論する際の概念のようなものであり、筆者もアメリカの大学院で学んだ際に、ゼミの議論で頻繁に出てきた。

 この理論を非常に簡単にいえば「人種差別というのは個人の心の問題ではなく、法律や社会的な制度、政策が生み出す」ということである。

 実際、その通りだ。黒人差別があったのは、人をモノとして売買した奴隷制度の存在が大きい。南北戦争後の奴隷制廃止以後も南部諸州では長年、各種の隔離政策が続いた。白人の黒人の結婚禁止から始まり、「白人専用」の水飲み場やトイレを作ることで黒人蔑視がさらに深刻になっていった。

 女性の地位についての議論とも同じだ。「男性優位な社会の中で作られた諸制度が女性を苦しめている」という観点から社会を眺めればさまざまな問題点が見えてくる。

■トランプ前大統領が理論を社会問題化した

 かつて私が経験したように、この理論は、大学院で議論するための題材のようなものだった。しかし、人種平等に社会が敏感になっている中で、大学院のみならず小中高の教員の研修で引用されることが増えている。