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点検結果後の日銀ETF買い入れ動向を検証する

●3月の点検結果により、ETFの買い入れ額は上限が維持され、対象はTOPIX連動型に絞られた。

●ETF買い入れの0.5%ルールは2月に1.0%ルールに変更、ただ新ルールは4月早々に見直された。

●今後ETF買い入れの頻度が低下してもそれは市場本来の価格形成機能を回復させることになる。

3月の点検結果により、ETFの買い入れ額は上限が維持され、対象はTOPIX連動型に絞られた
日銀は3月19日、より効果的で持続的な金融緩和を実施していくための点検結果を公表しました。その際、具体的な政策措置として、(1)貸出促進付利制度の創設、(2)長期金利の変動幅拡大と連続指値オペ制度の導入、(3)ETFおよびJ-REIT買い入れの運用変更、の3点が示されました。今回のレポートでは、点検結果後の日銀によるETF買い入れ動向を検証します。

なお、(3)について、もう少し詳しくみておくと、ETFの買い入れ額は、原則の目安(年間残高増加ペース約6兆円)が撤廃された一方、上限(同約12兆円)は維持され、市場の状況に応じて大規模な買い入れを行う姿勢が示されました。また、ETFの買い入れ対象は、東証株価指数(TOPIX)連動型のみとなり、日経平均連動型の場合に生じやすい、一部構成銘柄の間接保有比率の上昇という問題が是正されました。

ETF買い入れの0.5%ルールは2月に1.0%ルールに変更、ただ新ルールは4月早々に見直された
[図表]TOPIXの変化率とETFの買い入れ状況 (注)データは2021年2月1日から4月21日。騰落率はTOPIXについて、前日終値から当日前場終値までの騰落率を計算したもの。金額はETFの買い入れ額で単位は億円。ETFは、設備投資および人材投資に積極的に取り組んでいる企業を支援するためのETFは含まず。(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

日銀は、これまで約5年にわたり、0.5%のTOPIX下落率(前日終値から前場終値)を目安に、ETFの買い入れを行ってきました(いわゆる「0.5%ルール」)。しかしながら、2021年2月18日は、TOPIXの前場終値が、前日終値から0.54%下落したにもかかわらず、日銀はETFの買い入れを見送りました。つまり、日銀は3月の点検結果の発表を前に、買い入れ方針変更の意向を、市場に打診していたことになります。

2021年2月以降のTOPIX変化率とETFの買い入れ状況をまとめたものが図表1です。2月と3月の動きをみると、TOPIXの前日終値から前場終値の下落率が1.0%を超えた日に買い入れが行われており、0.5%ルールは1.0%ルールに変更されたように思われます。しかしながら、4月20日は1.25%の下落でも買い入れは見送られ、翌21日は2.2%の下落で買い入れが行われたことから、1.0%ルールは早々に見直された模様です。

今後ETF買い入れの頻度が低下してもそれは市場本来の価格形成機能を回復させることになる
2%ルールが今後も適用されるか否かは、もう少しデータの蓄積を待つ必要があると思われます。なお、日銀は3月19日に公表した「背景説明」という資料で、ETF買い入れ効果の詳細な分析を行っています。推計式には、TOPIXの100日移動平均からの乖離率や、日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)などが変数として用いられており、日銀はETFの買い入れにあたり、これらも参照していると考えられます。

いずれにせよ、日銀はこの先、市場動向を踏まえ、ETFの買い入れを柔軟に行うことが予想され、買い入れの頻度は、以前よりも低下する可能性が高まると思われます。その場合、株価下落時の下げ幅が幾分、拡大することも想定されますが、投資家には、十分な押し目買いの機会が提供されることになります。つまり、日銀の出番が減ることは、市場本来の価格形成機能の回復につながるとも考えられます。

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『点検結果後の日銀ETF買い入れ動向を検証する』を参照)。

(2021年4月22日)

市川 雅浩,三井住友DSアセットマネジメント株式会社 投資情報グループ