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長期金利、11年ぶり1% 思わぬ伏兵が上昇に弾み

22日の国内債券市場で長期金利がついに1%の大台に乗せた。日銀が年内にも追加利上げや国債買い入れ減額といった政策正常化を一段と進めるとの思惑がくすぶるなか、金利の先高観が強まっている。この日は超長期債の買い手不在が思わぬ伏兵となり、長期金利の上昇(債券価格の下落)を後押しした。

長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは22日午後に一時1.000%と前日から0.020%上昇し、2013年5月以来11年ぶりに1%の節目に到達した。黒田東彦前総裁のもとで日銀が「異次元」と呼ばれる大規模な金融緩和を進めていた時期の最高水準に並んだ。23年4月に就任した植田和男総裁の指揮下で日銀が政策正常化を進めるとの見方が金利上昇を促している。

さらに債券相場が崩れたのは財務省が実施した40年債(新発17回)入札の結果公表後だ。最高落札利回り(複利)は2.2700%と、前回3月(1.9050%)から大きく上昇。市場予想(2.260%)も上回り、市場では「弱い結果」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大塚崇広シニア債券ストラテジスト)と受け止められた。

流通市場では入札結果を受けて超長期債に売りが加速した。新発30年物国債の利回りは同0.075%高い2.160%と11年4月以来の水準に上昇したほか、新発20年債利回りは同0.040%高い1.830%と12年3月以来の高さを記録し、長期金利にも上昇圧力となった。

  • >>6830

    40年債と30年債の利回り差(複利ベース)をみると、今週20日に0.17%台と17年11月以来の大きさに拡大していた。入札前から40年債は価格調整が進み、市場では30年債と比べると相場が相対的に割安だとの評価で一致していたものの、入札では思ったような投資家の応札が集まらなかった。

    黒田前総裁の時代に導入された長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)で日銀は長期金利の上昇を意図的に抑えていた。YCCが撤廃され、政策が正常化するなかでも超長期債は日銀の購入規模が小さく影響は限られるはず――。そんな期待を覆すように10日の30年債入札も「低調」で「利回りが上がれば生命保険会社が買うとの期待が一気にしぼんだ」(三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジスト)。

    投資家が超長期債への慎重姿勢を続ける裏側には金利の先高観がある。外国為替市場では歴史的な円安に歯止めをかけるため、日銀が早ければ6月にも国債買い入れオペ(公開市場操作)の減額方針を決めるとの思惑がくすぶる。

    直近の実績に基づいた日銀の月間購入額をみると、残存期間「10年超25年以下」と「25年超」を合計した超長期ゾーンは約6000億円と、長期ゾーンにあたる「5年超10年以下」の1兆7000億円程度と比べて減額余地が限られるのは確かだ。

    だが、長期金利の水準が切り上がると「超長期の金利上昇も避けられない」(国内証券ストラテジスト)。日銀だけでなく投資家もいないとなると、市場からは「財務省が超長期債の発行を減額する方針転換を示すほかに頼れる部分はないのでは」(三井住友トラスト・アセットの稲留氏)との声も漏れる。

    金利上昇の根底にあるのは日銀がどの年限の国債購入を減らし、量的引き締め(QT)をどのようなペースで進めるかが分からず「市場参加者はタームプレミアム(年限に応じた上乗せ金利)の拡大を求めざるを得ない」(岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジスト)ためだ。超長期債で投資家が不在となるなか、節目に達した長期金利の上昇がどこで止まるかは不透明だ。