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すれ違う日銀と債券市場 「不意打ち減額」で金利一段高

国内債券市場で金利上昇圧力が増している。21日には一時11年ぶりの高水準となる0.98%に上昇した。上昇の理由は表面上、日銀の追加政策修正への思惑が増していることだが、根底にあるのは債券市場参加者の日銀に対する不信感だ。市場との対話は今後の正常化に向けたリスクにもなり得る。

「マイナス金利を解除した後も債券市場における日銀の存在感や金利へのインパクトは大きいままだ。今後はどれくらい慎重に正常化を進めるかが問題だ」。ある外国証券の債券営業担当者はこう話す。

債券市場参加者の間では日銀の国債買い入れオペ(公開市場操作)を巡る動向に関心が集中する。3月のマイナス金利解除以降、既に3回も市場予想を外されているためだ。

最初は4月3日。3月のマイナス金利解除に加え、4月から国債発行の減額が決まっていたため市場では国債の買い入れ額を月間で5000億〜6000億円減らすというコンセンサスが形成されていた。ところが蓋を開けてみれば4月中の減額はなく、4月26日の植田和男総裁の記者会見でも買い入れの減額方針は示されなかったため、市場は早期の買い入れ減額はないとのメッセージだと受け取った。

ところが5月13日のオペでは残存5〜10年の国債買い入れが従来の4750億円から4250億円に減額された。減額を受けて、今度は24年度の発行減額規模が10年債よりも大きい2年債や5年債の買い入れも同様に減らすとの見方が浮上したが、17日のオペでは減額はなかった。この間、減額の有無は国内債券市場だけでなく、じわじわと円安が進む形で外国為替市場にも大きな影響を及ぼした。

  • >>6780

    JPモルガン証券の山本宏紀債券ストラテジストは「4月最初のオペで減額すれば市場参加者も納得できた。5月の唐突な減額で市場参加者は日銀が何をしたいのか、日銀の反応関数が何なのかがわからなくなった」と指摘する。オペの不透明感が強まり、入札などの重要イベントがこなしにくくなっているとの声もある。

    ここまで市場が混乱する伏線はあった。債券市場参加者がざわついたのが3月28日の午前だ。この日公表されたのは、日銀が政策変更をした3月18〜19日の「金融政策決定会合における主な意見」。ある政策委員から国債買い入れについて「上下に多少のアローワンス(例えば1兆〜2兆円程度)をもって対応していくことが適当」との意見があったことが判明した。

    日銀は13日の買い入れ減額を考慮してもなお5月月間で5兆7000億円規模の国債を買い入れる見込みだ。月に1兆〜2兆円も買い入れ規模がぶれれば、需給は崩れやすくなり債券市場の金利形成はいびつになりかねない。植田総裁は23年4月の就任以来、「金利形成は債券市場に委ねる」との情報発信を繰り返してきただけに、市場では日銀に対する不満の声が強まった。

    欧米の中央銀行は通常、政策の変更で不測の影響が生じないように市場と密に情報をやりとりし、政策の変更を十分に織り込ませる。例えば米連邦準備理事会(FRB)は5月1日、6月から保有国債の残高縮小ペースを現在の月600億ドルから月250億ドルに減らすと発表した。実際の減額より前に公表することで市場参加者が備える猶予を与えるためだ。

  • >>6780

    かつてFRBは13年にバーナンキ議長(当時)が量的緩和縮小に突然言及し、世界の市場が混乱する「バーナンキ・ショック」が起きたことがある。引き締め方向の政策変更が市場に及ぼす影響は大きい。

    日銀も黒田東彦前総裁が14年10月の追加緩和や16年1月のマイナス金利導入など、政策変更を市場に織り込ませずに外為市場を中心とした市場への影響を大きくする「サプライズ」の手法を使った。

    東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは「5月13日の減額は円安圧力を止められず、債券のボラティリティー(変動率)を上げたという意味で『悪手』だった」と指摘する。市場が再び抱えた不信感が拭えぬ限り、日銀が進める金融政策の正常化の難路は一段と増しかねない。