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カカオ品薄、密輸も拍車 農家、価格高の恩恵受けられず

世界的な供給不足からカカオ豆の高騰が続く。異常気象に伴う不作が主因だが、2大産地であるガーナやコートジボワールで他国への密輸が増えていることも品薄感に拍車をかけている。市場の価格変動から農家を守るための両国の買い取り制度が裏目に出て、農家が価格上昇の恩恵を受けられていないことが密輸横行の背景にある。

カカオ豆の国際指標となるロンドン市場の先物価格は取引の中心となる第2限月が19日、一時1トン9980ポンドと最高値を更新し、史上初の1万ポンドに迫った。足元も9500ポンド前後と2023年末比で3倍近い高値圏だ。

需要を映すとされる世界の主要消費国のカカオ豆の磨砕量(加工量)が、市場予想を大きく上回ったことが直近の上昇のきっかけだ。専門商社の担当者は「現時点では需要が目に見えて減っておらず、供給不足の解消に時間がかかるとの見方が強まった」と指摘する。

品薄感を一段と強めているのが、世界のカカオ豆供給の過半数を占めるコートジボワールとガーナでの密輸の増加だ。両国では国がカカオ農家から買い入れる豆の価格を決めている。両国はカカオ豆の新しい収穫年度が始まる10月ごろに決めた価格で1年間の買い取りを固定することが多い。

  • >>6191

    もともとは市場の価格変動から農家を保護する意味もあったが、足元ではこの制度が裏目に出ている。市場価格の急ピッチな高騰で、買い取り価格を大幅に上回る状況が続く。カカオ農家が足元の市場価格高騰の恩恵を受けられていない。

    農家は国に買い取ってもらうより、市場価格で売れる隣国などに密輸した方が手取りが良くなる状況となり、密輸の増加につながっている。密輸による流出量は不明だが、業界関係者の間では「5万〜20万トン程度が流れた」との見方もある。2カ国の今年度の生産量の2〜8%にあたる。

    密輸の横行はカカオ豆高騰で本来潤うはずの産地の国家財政にも悪影響を及ぼす。先進国の利上げをきっかけに経済危機に陥ったガーナは22年12月、事実上のデフォルト(債務不履行)に陥った。

    政府の資金不足により、ガーナでカカオ豆の流通を管理する政府機関のガーナココア委員会(COCOBOD)は農家からカカオ豆を購入する資金を、複数の国際銀行からのシンジケートローン(協調融資)で賄っている。不作と密輸により予定していた輸出契約が履行できなくなれば、融資返済にも影響が出てきかねない。

    両国は4月、相次ぎカカオ豆の買い取り価格を大幅に引き上げた。コートジボワールでは当初価格比50%、ガーナでは同58%の大幅な引き上げで、年度途中で価格改定されるのは異例だ。もっとも両国の買い取り価格は値上げ後も米ドル換算で1トン2400〜2500ドル程度と、なお市場価格の5分の1程度にとどまる。コンフィテーラ(東京・港)の今村雄紀社長は「農家の手取りを増やして密輸に流れるのを防ぎ、生産意欲を上げる狙いがあるが、どれほど効果があるかは疑問」とみる。

  • >>6191

    農家の手取りの低さは、昨今の不作による供給不足の根本要因との見方もある。立花商店(大阪市)の生田渉取締役は「樹齢が古い木が多いため、農家に十分な肥料や農薬をまくだけの利益が残らないと、病気や異常気象に対して脆弱になる」と指摘する。新しく植えたカカオの木が実を付けるまでには3〜5年程度かかり、供給を増やすには時間がかかる。

    産地の品薄は日本にも影響を及ぼしている。今村氏は「日本国内向けに成約済みのカカオ豆の3割以上が船積みされておらず、現物のタイト感が増している」と話す。

    日本でもチョコレート製品の値上げが避けられそうにない。伊藤忠商事の山田恵公カカオ・ゴマ課長は「価格が高いカカオ豆由来の原材料の配合を抑え、代替植物油脂を活用するなど消費者目線での製品開発の工夫も始まっている」と指摘する。