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ひとりごとの掲示板

 前代未聞の米議会ロックダウン。米連邦議会議事堂周辺に集結したデモの一部が暴徒化したことから、議会内では銃声が鳴り響くなどの大混乱に陥りましたね。まさに映画のワンシーンそのものとなりました。米国では昨年のブラックライブマターの暴動と合わせて、国内の相容れない価値観の分裂の深刻さが表面化しているといえます。
 しかしながら、市場は「意外にもかなり冷静な動きだった」わけで、為替市場でも目先買われていたドルのポジション調整に過ぎない「ドル売り」での反応にとどまっています。株式市場でも、新政権の政策を見越して、ダウ平均は大幅な上昇となった一方、ハイテク企業への規制強化が想定されていることから、ナスダックは下落。前代未聞の政治的混乱劇をよそに、早くも次のステージへ視点を移しているところです。
 ところで、昨日の米ジョージア州の決戦投票の結果を受けて、トリプルブルーウェーブが決定的。市場では、米10年債利回りが一気に節目の1%を上抜けることになりました。米長期金利はこのところ0.9%台での推移を続けていたわけですが、それもこれも、米上院は共和党が過半数を維持するというシナリオによるもの。
 この前提が崩れる、つまり、民主党が議会をコントロールできることによる、財政支出の予想以上の拡大。結果として債券需給バランスが極端に崩れることによる債券価格の下落が米長期金利の急激な上昇を招くことになりました。ドル円も米長期金利の急上昇に敏感に反応。一時103.44円まで値を上げています。
 今年に入って、米10年のブレークイーブンインフレ率(BEI)が2%を上抜けてきていることが話題となっていますが、トリプルブルーウェーブの確定が名目の10年債利回りも急上昇させて、結果的に実質金利の低下を止めている、または上昇させることにつながっています。
 これまでのドル安局面では、BEIが上昇してきても、名目の10年債利回りが横ばいで安定していたことから、実質金利がその分低下したわけですので、ゼロ金利下でのドル安を正当化することが出来ましたが、今後は実質金利の上昇によるドル高局面に転じていってもおかしくはありませんね。
 いずれにしても、米政権の変化が金融政策や為替市場に影響を与えることは確か。米長期金利の動向から目が離せなくなってきています。