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Achilles Last Standの掲示板

>>104

兵庫県宝塚市で電子機器を生産するニッシンの役員は「ウェブサイトから製品カタログをダウンロードした1時間後に、突然電話がかかってきた」と打ち明ける。キーエンスに「待ち」の姿勢はない。顧客の興味の兆しが見えた途端にアプローチし、自らのペースに巻き込んでいく。

もう1つは「潜在ニーズ」の掘り起こし。営業担当者が現場を直接見ることが、顧客自身も気付かなかった欲求を浮き彫りにしていく。

「こんなに簡単なんですか? 初見で使えますね!」

「ガーナ」などのチョコレートを製造するロッテ浦和工場(さいたま市)。生産技術の担当者は18年、キーエンス製の画像センサー導入を決めた。工場内に持ち込まれたデモ機を見るだけで、設定のシンプルさが分かったからだ。
ロッテの担当者が悩んでいたのは歩留まりの悪さ。チョコレートの「割れ」や「欠け」を判別する装置を用いていたが、精度が足りずに良品まではじいてしまっていた。そこで声をかけたのは、毎月のように来訪するキーエンスの営業担当者だった。頻繁に顔を出し、「相談を持ちかけると喜んで応じてくれ、早いと翌週には具体的な提案に仕上げてくる」(ロッテ)姿勢に好感を持っていたからだ。

回答はロッテの想像を超えていた。問題解決に特化するなら、判別精度の高い機械に置き換えるのが近道だ。歩留まりは改善し、当面の不満は解消される。しかしキーエンスが持ち込んだのは、高精度でも使いやすさに特化した製品だった。

多くの製造現場では高価だが複雑な装置を作業員が使いこなせず、宝の持ち腐れになっている。調整が難しい機械は、次第に敬遠されるようになる。

一握りの専門家ではなく、生産ラインに関わる多くの人の知恵を結集して歩留まりを高めたい――。ロッテのニーズを先回りして具体化し、目の前に示したからこそ、キーエンスは新製品の導入に成功したわけだ。