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米がデジタル課税歩み寄り G20財務相会議 積極財政維持一致

米欧と新興国からなる主要20カ国・地域(G20)は26日、財務相・中央銀行総裁会議を開き、新型コロナウイルスの感染拡大による景気減速に対応するため、積極的な財政出動を続ける必要性を確認した。強力な多国間主義を採ることでも一致。各国が協議中の巨大企業に対する課税強化策では、米国がトランプ前政権の主張を取り下げ、国際協調回帰の姿勢を示した。

 議長国イタリアのフランコ経済財務相は、会議後の記者会見で、感染状況と世界経済の現状について「依然として厳しい。経済回復は脆弱(ぜいじゃく)でバラツキがある。多国間主義がかつてないほど重要だ」と指摘。「財政・金融政策の早すぎる停止は避けなければならない」と述べ、引き続き財政出動と金融緩和策で経済回復を下支えする必要性を強調した。

 各国が今年半ばの合意を目指す課税強化策「デジタル課税」では、進展があった。米IT大手企業の負担増となるため、トランプ前政権は新制度の適用を受け入れるかどうかを企業が決める事実上の抜け道を導入するよう要請していた。イエレン米財務長官はこれを取り下げ、今後の協議に積極的に関与する考えを表明した。デジタル課税を巡って米国と対立していた欧州は「大きな前進だ」(ドイツのショルツ財務相)などと歓迎した。議長のフランコ氏は7月会合での合意を目指す方針を明らかにした。

 低所得国支援については、国際通貨基金(IMF)による外貨調達手段「特別引き出し権(SDR)」の新規配分を行い、債務返済負担を減らす案に支持が集まったものの、具体論の協議には至らなかった。背景には、中国が低所得国に対する融資状況を十分に開示せず、不透明だという事情がある。国際社会が支援を行っても、中国など「特定の債権国が隠している債務の返済に充てられたら低所得国の利益にまったくならない」(麻生太郎財務相)との懸念が強いためだ。

 会議はオンライン形式で行い、日本からは麻生財務相と日銀の黒田東彦総裁が出席した。【横山三加子(ロンドン)、和田憲二】