IDでもっと便利に新規取得

ログイン


ここから本文です

>>778

裁判での大きな2つの争点

今回の裁判では大きく2つの点が争われました。

1点目は、被爆者援護法で規定している被爆者の定義の1つ、「原爆による放射線の影響を受ける事情にあった」と言えるかどうかです。

住民たちは、放射線による身体への影響が完全には解明されていないとして法律の規定を広く捉え、「放射線の影響を受けたことを否定できない事情にあった」と解釈するべきだと主張しました。

そのうえで、住民たちは、「国が指定した放射線の影響が否定できない病気のがんなどを発症しているので、黒い雨による健康被害は明らかだ」としています。

一方、広島市や県は、法律で定める被爆地域は、爆心地からおおむね5キロの範囲を基本としているものの、住民たちは最も近くても8.8キロの地点にいて、放射線の影響が及ぶとは考えがたいと主張しました。

そのうえで、「仮に住民たちが黒い雨を浴びたとしても、現在の科学的見解に照らして、健康被害が生じると合理的に認められるほどの被爆をしたと言える具体的根拠はない」としています。

2点目は、住民たちが法律で定める被爆者として認められなかったとしても、被爆者に準じた援護が受けられるかどうかです。

国が指定した「健康診断特例区域」と呼ばれる援護区域の範囲にいた人は被爆者に準じて無料で健康診断が受けられることになっていて、その範囲が妥当かどうかが争われました。


国は昭和51年、爆心地からおよそ南北に19キロ、東西に11キロの範囲を「健康診

断特例区域」に指定しています。

国が指定したがんなどの病気を発症した場合、被爆者健康手帳が交付されて、医療費などが給付されますが、訴えを起こした住民たちは、援護区域の外にいたため、無料の健康診断といった被爆者に準じる援護も受けることができません。

この援護区域は、原爆投下直後の昭和20年に当時の気象台の職員が行った調査に

よって、黒い雨が激しく降った「大雨地域」と区分された範囲が指定されました

が、住民たちは、「『大雨地域』だけでなく、さらに広い範囲で雨が降ったのに、

援護区域を限定するのは不合理だ」と主張しました。

一方、広島市や県は、「黒い雨の『大雨地域』の外では、高濃度の放射性物質が降

ったと認められる科学的見解はなく、援護区域の範囲の指定に不合理な点はない

」と主張しました。

NHK

  • >>779

    「黒い雨」浴びた住民を被爆者と認める判決 広島地裁

    2020年7月29日 14時38分

    広島に原爆が投下された直後に放射性物質を含む、いわゆる「黒い雨」を浴びて健康被害を受けたとして住民たちが訴えた裁判で、広島地方裁判所は広島市などに対し、法律で定める被爆者と認める判決を言い渡しました。

    75年前の「黒い雨」をめぐる裁判で、被爆者と認める判決は初めてです。

    現在の広島市佐伯区や安芸太田町などに住む75歳から96歳までの住民やその遺族、合わせて84人は、原爆が投下された直後に降った、いわゆる「黒い雨」を浴びて健康被害を受けたとして、5年前、広島市や県に対し、法律で定める被爆者と認めて被爆者健康手帳を交付するよう訴えました。

    これまでの裁判では、被爆者の定義の1つとなっている「原爆による放射線の影響を受ける事情にあった」と言えるかどうかが争われ、住民たちは「国が指定した放射線の影響が否定できない病気のがんなどにかかっていて、黒い雨による健康被害は明らかだ」と主張しました。

    一方、広島市と県は「黒い雨を浴びたとしても、健康被害が合理的に認められるほど被爆したと言える具体的な根拠はない」として訴えを退けるよう求めました。

    これについて、広島地方裁判所は、住民たちを被爆者と認める判決を言い渡しました。

    75年前の「黒い雨」をめぐる裁判で、被爆者と認める判決は初めてです。

    「黒い雨」が降った地域の一部では、被爆者に準じる援護を受けられる制度がありますが、今回の原告はその対象からも外れていました。

    NHK