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私と経済の掲示板

感染急拡大、息潜める北京 ゼロコロナ転換の中国
封鎖解除も自主隔離/従業員3~4割感染/年明けにピークか

新型コロナウイルスの感染を徹底的に封じ込める「ゼロコロナ」政策を大幅に緩和した中国では、首都北京などが感染爆発の様相を呈している。オフィスの出勤者や繁華街の人出は激減し、まだ感染していない市民は外出を控えている。専門家は「来年1~2月に感染のピークを迎える」と予測、医療資源の不足もあり混乱は当面続きそうだ。

「家にこもり、在宅勤務をする生活が3週間も続いている」。北京の女性会社員、李さん(34)は嘆く。「多くの知人がすでに感染したが、自分はまだ。外出するのがとにかく怖い」と不安を語った。

普段は観光客や買い物客でごった返す北京の代表的な繁華街「王府井大街」は17日、通行人はまばらで、商業施設は閑散としていた。「北京オフィスの従業員のうち半分以上がコロナに感染しているか、感染の疑いがある」(日系製造業幹部)。出社する従業員は全体の2割以下という。

中国政府は7日にゼロコロナの大幅な緩和策を発表し、流行地域での全住民を対象としたPCR検査を停止、集合住宅などの封鎖も大幅に減らした。14日には、無症状感染者の人数公表を取りやめた。

共産党系メディア環球時報の元編集長、胡錫進氏は15日「非公式の推定値では、北京は10日間ほどで数百万人が感染した」とSNS(交流サイト)に投稿した。北京の総人口は約2200万人で、少なくとも1割以上が感染した計算だ。

中国政府の公式統計では12月4日以降、コロナ関連の死者はゼロだが、水面下で高齢者を中心に増えている可能性がある。北京のある葬儀場は16日、日本経済新聞の取材に「以前よりも葬儀の件数が増え、順番待ちの状態だ。早くとも26日になる」と答えた。

  • >>31897

    広州にある葬儀場の関係者も「ゼロコロナの緩和前、搬送される遺体は多くても1日50人だったが、最近は毎日100人を超える」と話した。取材に訪れると、約30あるホールのほぼすべてが利用中か準備中だった。遺族とみられる人たちや、青い防護服を着た係員の姿が目立った。

    ロイター通信によると、世界保健機関(WHO)で緊急事態対応を統括するライアン氏は14日、中国では7日の政策転換前から感染の急拡大が進んでいたとの見方を示した。

    最大の経済都市、上海の市当局は19日から小中学校と高校で大半の授業をオンラインとすることを決めた。幼稚園や保育所も同日から受け入れを停止する。

    河南省鄭州市にある、米アップルのスマートフォン「iPhone」の生産を請け負う台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の鄭州工場。報道によると、感染増加の影響などから同工場で働く従業員数はフル生産時の40~50%程度にとどまる。

    複数の関係者によると、主な日系企業では武漢の拠点で従業員の3~4割が、大連でも従業員の2~3割が感染した。

    重慶では病院の発熱者向け診療窓口に行列ができている。解熱剤や体温計、自宅で使用する検査キットなどを薬局やネット通販で購入する人が各都市で急増し、品不足の状態が続いている。

    ゴールドマン・サックスのエコノミスト、フイ・シャン氏らは16日のリポートで感染状況は「12月下旬から1月上旬に感染のピークを迎え、1日の感染者数は500万人~1300万人に達する」と推計した。環球時報によると、武漢でコロナ対策にあたった天津中医薬大学の張伯礼名誉校長も16日「来年1~2月に感染のピークを迎える」と述べた。

    人口14億人の中国では、人口当たりの医師数や病床数の不足、米欧に比べて低いワクチンの有効性や接種率がかねて不安視されてきた。当局は高齢者を中心にワクチン接種を急いでいる。

  • >>31897

    香港大の専門家らが14日に発表した論文によると、ワクチン接種が進み治療体制が改善した場合、中国のコロナ死者数は約63万~約70万人、対策が現状維持にとどまる場合は約96万人が死亡すると推計される。

    英医療調査会社エアフィニティも11月28日の報告書で「ゼロコロナを解除すると130万~210万人が死亡するリスクがある」との推計を示していた。

    国際医療福祉大の松本哲哉教授(感染症学)は「これまでに感染して免疫をもった人が少ない状況で対策を緩めたため、一気に広がるのは仕方がない。医療機関の受け入れ態勢が整っておらず、高齢者の重症化率や死亡率が高くなることが懸念される」と話す。

    「自主的に接触機会を減らす取り組みは有用だが、行動制限はこれ以上長続きしないだろう。国外のワクチンを受け入れることも検討すべきだ」とも指摘した。