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私と経済の掲示板

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欧州経済のけん引役であるドイツの乗用車生産は4月に前年比97%減まで落ち込んだが、9月は11%減の約37万台にまで盛り返した。危機前の水準はまだ遠いが、人手不足となったフォルクスワーゲンが期間工の採用に動くなど、前向きな動きも見え始めた。

サービス業を直撃した今回の危機は、より深い傷痕を欧州経済に残す恐れがある。ユーロ圏の雇用の75%をサービス業が支えているためだ。

欧州の多くの国では、休業などで目減りした給与の大半を政府が補償する政策を導入し、失業の増加に歯止めを掛けている。それでも失業率は3月の7.2%から8月の8.1%までじりじりと上昇してきた。

危機のしわ寄せはとりわけ25歳未満の若者に向かっている。若年失業率は8月にスペインで43%、イタリアで32%、ユーロ圏全体でも18%まで高まった。若者が習熟の機会を失えば生産性の低下は避けられず、格差拡大によって政治を不安定にするリスクがある。

コロナ対策も無限に続けられるわけではない。欧州連合(EU)統計局によると、ユーロ圏では4~6月に過去最大の国内総生産(GDP)比11.6%の財政赤字が生じた。政府債務のGDP比も3月末に86.3%だったのが6月末には95.1%に跳ね上がった。

ドイツのメルケル首相は14日、春のような状況には「経済的にも対処する余裕はない」と語った。各国とも経済的な打撃の大きい大規模なロックダウンは避けたい考えだが、対策を小出しにすれば、かえって危機が長引く恐れもある。

「もっと必要ならもっとやる」。欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は追加緩和も辞さない姿勢をちらつかせる。金融政策にできることは残されているのか、29日に開くECB理事会への注目も高まりつつある。