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グーグルとアマゾン、コロナ禍背景に不動産投資拡大
9/23(木) 16:01配信

JBpress

 米グーグルは9月21日、ニューヨーク市のオフィスビルを21億ドル(約2300億円)で購入すると明らかにした。米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、この金額は新型コロナのパンデミックが始まって以降、米国内のビル1棟の取引として最高額。米国の歴史の中で最も高額なオフィスビル売買取引の1つでもあるという。コロナ禍でオフィス空室率が上昇し賃料が下落する中、グーグルなどのテック大手は豊富な手元資金を背景に不動産物件への投資を拡大している。

■ 東京ドーム2.6個分のビル

 グーグルが購入するのは、マンハッタン西側のハドソンスクエア地区にある、12万平方メートル(東京ドーム2.6個分)の「セントジョンズ・ターミナル」と呼ぶビル。

 グーグルはすでにこのビルの賃貸契約を結んでおり、これまで改装を進めていたが、契約に含まれていた購入オプションを行使することを決めた。22年1~3月期に売買手続きを完了し、23年半ばにオープンをする計画だという。

 これに先立つ21年3月、グーグルは年内に70億ドル(約7700億円)以上を投じ米国内でオフィスやデータセンターを拡張すると明らかにしていた。本社のあるカリフォルニア州で10億ドル超を投じるほか、計19州で施設を拡大し、少なくとも1万人のフルタイム従業員を新規雇用する。

■ カリフォルニア州に次ぐ規模

 ニューヨークではマンハッタン地区で、番地の異なる複数の大型オフィスビルを賃借・所有し、それらで「グーグル・ハドソンスクエア」と呼ぶキャンパスを構成している。グーグルにとって本社のあるカリフォルニア州に次ぐ規模のオフィス拠点だ。

 グーグルのニューヨークにおける現在の従業員数は1万2000人。今後数年で約1万4000人にまで増やす計画。今回購入を決めたビルは、販売や協業などのグローバル事業を展開するニューヨークの中核拠点になるとしている。

 グーグルは大半の社員が自宅勤務とオフィス勤務を組み合わせて仕事をするハイブリッド型勤務体系の導入を計画している。そのうえで、スンダー・ピチャイCEO(最高経営責任者)はオフィス勤務の重要性を指摘している。同氏は3月、「社員が集まり対面で共同作業しコミュニティーを築くことがグーグルの重要な企業文化であると考えている」とし、米国内のオフィスに大規模投資する考えを示していた。

■ アマゾン、第2本社計画着々と 経営破綻した百貨店ビルも取得

 米アマゾン・ドット・コムも対面共同作業の重要性を強調しており、オフィス拡張計画を進めている。

 同社は21年2月、バージニア州アーリントンで開発を進めている第2本社(HQ2)の第2工期計画案を公開した。ここに3棟の22階建てオフィスビルと約107メートルのオフィスタワーを建設する計画で、これとは別に2棟の22階建てオフィスビルを建設中だ。同社はこれらアーリントン地域で今後10年間に2万5000人を雇用し、25億ドル(約2700億円)を投資する。

 アマゾンは21年1月、マサチューセッツ州ボストンの技術開発拠点を拡大し、数年で3000人超の従業員を新規採用するとも発表。こちらは、総面積約4万平方メートル(東京ドームほぼ1個分)の17階建てビルを建設中で、年内に完成する予定。

 20年9月にはアマゾンの本社があるワシントン州シアトル近郊のベルビュー市で、数年かけて1万人を新規採用すると明らかにした。これに伴い42階建てのオフィスビルと3棟のビルが建つ商業地区を賃借する。

 このほか、20年8月にはニューヨーク市やテキサス州ダラス、アリゾナ州フェニックスなど米6都市でオフィスを拡大すると明らかにした。このうちニューヨーク市では米連邦破産法11条の適用を申請して経営破綻した老舗百貨店ロード・アンド・テイラーのビルを取得。総面積約5万8500平方メートルのオフィスに転換する計画だ。

 (参考・関連記事)「米テック大手、オフィス再開は慎重に | JBpress」

小久保 重信