投稿一覧に戻る 明(min)のゴミ箱の掲示板 151 hardWorker 2021年9月11日 03:20 ドル円の「最弱相場」、じつは世界経済「ピークアウト」でもまだまだ終わらない! 9/10(金) 7:31配信 現代ビジネス 「踊り場」に突入する世界経済 8月以降の金融市場では世界経済の減速がテーマになりつつある。 実際、製造業PMIは8月時点でピークアウトの色が濃い(以下、図表1)。 国・地域別に言えば、回復の始まりが早かった中国は年初から垂れ始めていたが、欧米については7~8月に頭を打ったように見える。 日本は4月以降、軟化しているが、これは3回目の緊急事態宣言発出と符合しており、それゆえに改善の幅(PMIの上昇幅)も欧米に比べてひときわ小さかった。 いずれにせよ、世界の主要国に関して「2020年からの反発」はひとまず終了しているというのが現状と見受けられる。 明確に「ピークアウト」している (図2)同価格と金価格の相対価格の推移 PMIのようなソフトデータだけではなく、中国の鉱工業生産や小売売上高の減速、これと密接に関係がありそうな銅価格の下落など、心理面だけではなく実体面からも確かな減速が可視的である。 世界の景気循環に先行性を持つと考えられる銅金レシオ(銅価格÷金価格)は5月以降、明確にピークアウトしているが(以下、図表2)、これが予見した通り、8月以降は世界経済減速がテーマになっているということだろうか。 いずれにせよ、物価上昇とともにリスク資産価格も無条件に上がるリフレシナリオに代わって、世界経済が急成長の足を停めて踊り場に差し掛かり、あらゆる資産価格が調整を強いられるというシナリオに軸足が移りつつあるようには見える。 もっとも、米国経済の復活を中心とする基本シナリオが大きく変わるとは考えにくい。 そもそも欧米経済は潜在成長率を大幅に超えるペースで成長してきた。これが長く続くはずはない。 例えば1~3月期、4~6月期と米国の実質GDP成長率は前期比年率+6%を超えているが、これは同国の潜在成長率の倍速である。このような状況が1年以上も持続する方が懸念を抱くレベルだ。 米国、中国>英国>ユーロ圏>日本… (図3)G7の名目実効為替相場の推移 また、GDP水準について言えば、中国や米国は4~6月期に、英国やユーロ圏は年内にコロナ前(19年10~12月期)の水準を復元する状況にある。 コロナ前の水準に漕ぎ着けたのだから、そこから先は平時の軌道に移るのが当然である。 日本のようにコロナ前の水準を大きく割り込みながらいまだ低空飛行を余儀なくされている国はさておき、米中英欧で見られる減速はデルタ変異株の影響も当然あるとしても、基本的には必然の帰結であることも念頭に置きたい。 それは「異常な状態」から「普通の状態」への回帰であり、各国経済の強弱関係が「米国、中国>英国>ユーロ圏>日本」という序列にあることは概ね変わっていない。 とりわけ常に「相手のある話」が展開される為替市場ではその序列は固定化されやすい。上の図表3は「G7+中国」の名目実効為替相場(NEER)を比較したものだが、ユーロと円以外は年初来で上昇している。 ただし、ユーロの場合、2020年通年でNEERは+6.7%上昇、対ドルでは+9.2%上昇を果たすという大相場を演じた。 この経緯を踏まえれば、年初8か月間でNEERが▲2.2%の下落、対ドルでも▲3%の下落というのはむしろ堅調とも言える。 一方、円は2020年通年でNEERは+1.4%上昇、対ドルでは+5.0%上昇した。今年は年初8か月間でNEERが▲5.0%弱の下落、対ドルで▲6.3%の下落であり、昨年の上昇幅は全て吐き出してしまっている。円とユーロは2021年の下落通貨だが、背景事情が異なる。 結局、円安は続く… 今後のFRBの正常化プロセスがどのような軌道を描くかに依存してドル/円相場が主戦場とするレンジも変わるだろう。 今後、具体的には量的緩和の段階的縮小(テーパリング)決定のタイミングに関し、(1)「11月決定、12月開始」、(2)「12月決定、1月開始」、(3)当面棚上げの3シナリオの間で思いを巡らせることになりそうだ。 これをドル/円相場の見通しに当て嵌めれば、(1)ならば現状維持(110~115円が主戦場)、(2)ならばやや円高・ドル安に修正(107~112円が主戦場)、(3)ならばはっきりと円高・ドル安に修正(105~110円が主戦場)だろうか。 もっとも、(3)のシナリオまで踏まえても、一連の日本の防疫措置と経済正常化の状況を見る限り、ファンダメンタルズで米国が日本に負けることはまずないだろう。米国が多少つまずいても、ずっと寝込んでいる日本との差は大して変わらず、円が突出して評価されるとも思えない。 世界経済が「踊り場」に差し掛かりつつあるというのは重要な変化だが、円が対ドルで弱含みを続けるという見通しを修正する必要はさほど感じられない。 唐鎌 大輔(みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト) 返信する そう思う0 そう思わない0 開く お気に入りユーザーに登録する 無視ユーザーに登録する 違反報告する ツイート 投稿一覧に戻る
hardWorker 2021年9月11日 03:20
ドル円の「最弱相場」、じつは世界経済「ピークアウト」でもまだまだ終わらない!
9/10(金) 7:31配信
現代ビジネス
「踊り場」に突入する世界経済
8月以降の金融市場では世界経済の減速がテーマになりつつある。
実際、製造業PMIは8月時点でピークアウトの色が濃い(以下、図表1)。
国・地域別に言えば、回復の始まりが早かった中国は年初から垂れ始めていたが、欧米については7~8月に頭を打ったように見える。
日本は4月以降、軟化しているが、これは3回目の緊急事態宣言発出と符合しており、それゆえに改善の幅(PMIの上昇幅)も欧米に比べてひときわ小さかった。
いずれにせよ、世界の主要国に関して「2020年からの反発」はひとまず終了しているというのが現状と見受けられる。
明確に「ピークアウト」している
(図2)同価格と金価格の相対価格の推移
PMIのようなソフトデータだけではなく、中国の鉱工業生産や小売売上高の減速、これと密接に関係がありそうな銅価格の下落など、心理面だけではなく実体面からも確かな減速が可視的である。
世界の景気循環に先行性を持つと考えられる銅金レシオ(銅価格÷金価格)は5月以降、明確にピークアウトしているが(以下、図表2)、これが予見した通り、8月以降は世界経済減速がテーマになっているということだろうか。
いずれにせよ、物価上昇とともにリスク資産価格も無条件に上がるリフレシナリオに代わって、世界経済が急成長の足を停めて踊り場に差し掛かり、あらゆる資産価格が調整を強いられるというシナリオに軸足が移りつつあるようには見える。
もっとも、米国経済の復活を中心とする基本シナリオが大きく変わるとは考えにくい。
そもそも欧米経済は潜在成長率を大幅に超えるペースで成長してきた。これが長く続くはずはない。
例えば1~3月期、4~6月期と米国の実質GDP成長率は前期比年率+6%を超えているが、これは同国の潜在成長率の倍速である。このような状況が1年以上も持続する方が懸念を抱くレベルだ。
米国、中国>英国>ユーロ圏>日本…
(図3)G7の名目実効為替相場の推移
また、GDP水準について言えば、中国や米国は4~6月期に、英国やユーロ圏は年内にコロナ前(19年10~12月期)の水準を復元する状況にある。
コロナ前の水準に漕ぎ着けたのだから、そこから先は平時の軌道に移るのが当然である。
日本のようにコロナ前の水準を大きく割り込みながらいまだ低空飛行を余儀なくされている国はさておき、米中英欧で見られる減速はデルタ変異株の影響も当然あるとしても、基本的には必然の帰結であることも念頭に置きたい。
それは「異常な状態」から「普通の状態」への回帰であり、各国経済の強弱関係が「米国、中国>英国>ユーロ圏>日本」という序列にあることは概ね変わっていない。
とりわけ常に「相手のある話」が展開される為替市場ではその序列は固定化されやすい。上の図表3は「G7+中国」の名目実効為替相場(NEER)を比較したものだが、ユーロと円以外は年初来で上昇している。
ただし、ユーロの場合、2020年通年でNEERは+6.7%上昇、対ドルでは+9.2%上昇を果たすという大相場を演じた。
この経緯を踏まえれば、年初8か月間でNEERが▲2.2%の下落、対ドルでも▲3%の下落というのはむしろ堅調とも言える。
一方、円は2020年通年でNEERは+1.4%上昇、対ドルでは+5.0%上昇した。今年は年初8か月間でNEERが▲5.0%弱の下落、対ドルで▲6.3%の下落であり、昨年の上昇幅は全て吐き出してしまっている。円とユーロは2021年の下落通貨だが、背景事情が異なる。
結局、円安は続く…
今後のFRBの正常化プロセスがどのような軌道を描くかに依存してドル/円相場が主戦場とするレンジも変わるだろう。
今後、具体的には量的緩和の段階的縮小(テーパリング)決定のタイミングに関し、(1)「11月決定、12月開始」、(2)「12月決定、1月開始」、(3)当面棚上げの3シナリオの間で思いを巡らせることになりそうだ。
これをドル/円相場の見通しに当て嵌めれば、(1)ならば現状維持(110~115円が主戦場)、(2)ならばやや円高・ドル安に修正(107~112円が主戦場)、(3)ならばはっきりと円高・ドル安に修正(105~110円が主戦場)だろうか。
もっとも、(3)のシナリオまで踏まえても、一連の日本の防疫措置と経済正常化の状況を見る限り、ファンダメンタルズで米国が日本に負けることはまずないだろう。米国が多少つまずいても、ずっと寝込んでいる日本との差は大して変わらず、円が突出して評価されるとも思えない。
世界経済が「踊り場」に差し掛かりつつあるというのは重要な変化だが、円が対ドルで弱含みを続けるという見通しを修正する必要はさほど感じられない。
唐鎌 大輔(みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト)