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ソフトバンクグループ(株)【9984】の掲示板 〜2015/04/15

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Better days 強く買いたい 2014年6月6日 13:01

(株)東洋経済新報社 四季報オンライン編集部

「みなさん初めまして。pepper(ペッパー)と申します。孫社長、これでいいですか?
」――。この日、ソフトバンクの発表会の口火を切ったのは孫正義社長ではなく、白いボ
ディの人型ロボットだった。

 ソフトバンクは6月5日、ロボット事業に参入することを発表した。第1弾として登場
した人型ロボット「ペッパー」は、最新の音声認識技術や人の感情を推定する感情認識機
能を搭載するなど、コミュニケーションに特化したロボットだ。

 身長は121センチメートルで、重量は28キログラム。稼働時間は12時間以上。移
動速度は最大時速3キロメートル。1.5センチメートルの段差まで乗り換えることがで
きる。発表会では、人などとの距離を測る赤外線センサーや音が鳴った方向がわかるセン
サーなどの機能も披露された。

■自分の意思で動く世界初のロボット

 だが、これらの機能はペッパーを特徴づける要素の、ごく一部にすぎない。ペッパーの
最大の特徴は、感情を理解し、自らの意思で動く世界初のロボットという点だ。この日の
孫社長とのやり取りはアプリケーションを用いたものだったが、人工知能によるフリート
ークでも「7~8割程度は会話として成り立つ」(開発スタッフ)という。

 従来のロボットはプログラミングによって行動するが、ペッパーは人の感情を認識し、
人の役に立つような機能を持つロボットを目指している。そのために搭載されているのが
「感情エンジン」だ。

 嬉しい、ありがとう、という気持ちを認識し、その感情を数値化して学習する。それぞ
れの個体で得られた情報は、プライベートな情報を除いてクラウドベースでほかの個体と
共有され、いち早く進化していくという。

 孫社長は「小さい頃に鉄腕アトムを見ていた。アトムは涙を流せないが、そんな感情を
持てるロボットができたらいいなとずっと思っていた」と、長年の夢だったことを明かし
た。

 ペッパーはソフトバンクと仏アルデバラン・ロボティクス社の共同開発によって生み出
された。アルデバラン社はソフトバンクの子会社で、500人以上の技術者がロボットの
開発・生産に携わっている。

 ソフトバンクからはスマホ端末の開発などを担当するプロダクトサービス部をはじめ、
各部署のメンバーが開発に参画。クラウドや通信、インターネットに関して技術を提供し
た。

 量産に向けた製造パートナーとなるのはiPhone、iPadなども生産している台湾のEMS(受
託生産企業)、フォックスコン(鴻海科技集団)だ。同社のテリー・ゴウ会長も来日し、
祝辞を述べた。

■価格を抑え、普及を優先

 ペッパーは、単にデモンストレーション用に作られたのではない。2015年2月に本
体価格19万8000円で一般向けに発売する。さっそく6月6日からはソフトバンクシ
ョップの旗艦店である銀座店と表参道店に登場し、接客を担当する。アプリケーションに
よってジョークを飛ばしたり、ダンスを披露したり、人工知能によるフリートークで来店
したユーザーと対話もできる。順次、数百店規模で配置していく方針だ。

 ロボットビジネスの規模について、まだ明確な目標はない。そもそも、1体19万80
00円では赤字だという。「まずはパソコンが購入できるくらいの低価格で販売し、家庭
に普及させていく。量産効果が出てくれば、徐々に利益も出るようになるだろう。そのた
めに、世界一安くてよいものを作るフォックスコンと組んだ」(孫社長)。

 ソフト流通から始まり、出版、通信などと、つねに成長する分野でビジネスを広げてき
たソフトバンク。最近でも、ガンホー・オンライン・エンターテイメント、スーパーセル
といったスマホゲームや端末卸会社など、積極的に買収を進めている。ロボット分野に関
しても、今後はM&Aが頻発する可能性がありそうだ。

 なお、「ほぼ合意に達した」とも報道されている、米国携帯4位、TモバイルUSの買収に
ついて、孫社長は質疑応答でも、会見後の囲み取材でも、「今日はロボットの発表会だか
ら。まあまあ」などと明言を避けた。

(田邉 佳介)

(株)東洋経済新報社 四季報オンライン編集部