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ある建設機械レンタル業者の社内会議では「今稼がないで、いつ稼ぐ!」「もっと機械を投入すべきだ」と勢いのあるせりふが日夜飛び交っている。

建機レンタル業界が活況に沸いている。東日本大震災の復興工事に続き、東京オリンピックや都市再開発など、大規模工事の増加が後押ししているためだ。業界大手では過去最高益を記録するところもあり、今がまさに稼ぎ時である。

今稼がないで、いつ稼ぐ?

だが、その裏で業界の寡占化の波も押し寄せる。オリンピック特需が去った後の経営を心配し、体力のない中小業者は廃業や事業譲渡、大手への傘下入りをうかがう。「仕事があるうちに業績を伸ばし、会社を高値で売り飛ばしたい」。目先の売り上げを確保する動きがレンタル価格の押し下げにも拍車をかけている。

東証1部上場で、売上高規模で業界2位のカナモトは、2017年10月期決算で売上高1584億円(前期比9.4%増)、純利益は107億円(同32.7%増)と過去最高を記録した。

今2018年10月期も純利益は109億円と連続で過去最高を見込む。カナモトに代表されるように、業界は大手を中心として業績絶好調だ。

首都圏を中心として、東京オリンピックや都心再開発案件は2020年に向かってピークを迎える。都心部では進捗が遅れていた商業ビルや施設などの開発工事が最終局面に入る。機械もフル稼働状態に入っている。

「建機レンタル年間売上高推移」(経済産業省調査)を見ると、東日本大震災以降、業者の活況ぶりが見て取れる。2015年には10年前の2005年に比べて1.5倍の1兆3180億円に増加した。国内の「建設投資額」は微増にとどまるが、建機レンタルの伸びは著しい。いまや1兆円産業として成長を遂げたことを示している。

建機機ンタルが好調な背景には、ゼネコンはじめ建設会社が経費削減や財務戦略の一環として建機レンタルを積極的に利用していることがある。建機は値段も高く、機械の保有が建設会社の有形固定資産や金利等の増加をもたらし、経営を圧迫することになる。このため、建機レンタルを利用し固定費を変動費に転換、現場や地域の状況に合わせてその都度建機を調達しようとする動きが一般化している。

国土交通省の調査によると、日本の建機の保有台数は、2013年度で推定85万台。これら機械の購入者は建機レンタル業者が54.2%を占め、建設業者は24.6%にとどまる。つまり日本で使用されている建機の半分以上がレンタルで占められ、建機レンタル業者が現場で重要な役割を担っていることを示す。こうした背景が業績の引き上げ要因となっている。

受注争奪の消耗戦

だが、レンタル業者間では、価格競争による厳しい消耗戦が展開されている。

レンタル業者に対してゼネコンなど元請けからの値下げ要請は厳しい。建設業者の各現場の実行予算は決まっているので、追加工事が発生したり経費が増加したりすると、そのあおりはレンタル業者への値下げ要請へと向かう。こうした状況からレンタル業者の受注では値引きが常態化し、業者間の消耗戦へと発展する。

また、受注獲得のためには安全や省エネ、騒音対策などのために、最新の機種をそろえておかねばならない。近年、電子機器を搭載したICT建機など、需要に応じた機械の導入や入れ替えが要請され、設備投資による減価償却負担がつねに付きまとう。

一方、荒天や雨天により機械が稼働しなかった場合、その分の賃料の割引を要求される。借り手市場の業界慣習が定着し、採算性が圧迫される要因にもなっている。

こうした状況下で利益を確保するためには、営業拠点を増やし、保有機械の稼働率を上げるしかない。そのためには会社の資金力が物を言う。近年、大手による中小業者の買収が活発化し、買収によりシェアを伸ばそうとする動きが見られる。受注争奪の消耗戦の果てに、企業買収が活発化し、業界は寡占化が進んでいる。

大が小をのみ込む中で、「中小企業の経営者は会社を手放すタイミングを計っている」、「仕事がある今のうちに業績を伸ばし、いずれ会社を高く売り飛ばそうとしている」(業界関係者)といわれる。その表れでもある売り上げ確保のためのダンピングとも取れる受注が横行し、結果的にレンタル単価の低下を招いている。

カナモトの業績を見ても2017年10月期は売上高を9.4%伸ばしたが、営業利益率は前年と同じ10.5%と横ばいだった。2015年は売上高6.2%の伸びに対し同利益率0.9ポイント下落、ここ3年間で売り上げは伸びても営業利益率は伸びない状況が続いている。

西尾ントオールやサコスなど、ほかの上場する建機レンタル業者でも見られる。各社は、将来を見据えて建機の入れ替えを行い償却負担が増加していることもあるが、市場の単価下落が利益率の押し下げ要因ともな