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東京電力ホールディングス(株)【9501】の掲示板 2016/11/04〜2016/11/06

立命館大教授の大島堅一教授(C)日刊ゲンダイ

 この国の政府はどこまで悪辣なのか。原発の廃炉費用を国民に押しつける思惑で、有識者会議をスタートさせた。原発はガンガン再稼働させて、事故の賠償金や廃炉費用は国民負担とは、いいとこ取りのご都合主義にも程がある。果たして、原発コスト計算の第一人者、気鋭の学者・大島堅一の怒ること――。

■廃炉費用を出せば債務超過になる東電

――経産省はこのほど「東京電力改革」や「電力システム改革」などと名前を付けて、有識者会議を発足させました。ここで原発の廃炉費用などを誰に負担させるかが話し合われるのですが、なんだか、最初に国民負担ありきが透けて見えるようです。この有識者会議設置の狙いは何だとみますか?

 福島原発事故の賠償については、原子力損害賠償・廃炉等支援機構がありますが、廃炉費用の金額は示していない。将来、発生する費用は債務ですから、必ず財務諸表に載せなければいけないのにやっていない。廃炉費用を明らかにすると、債務超過になってしまうからでしょう。メガバンクは東電に無担保で約2兆円を融資していますが、債務超過になりそうな企業に追加融資はできない。そこで、債務超過に陥る前に廃炉費用を捻出する仕組みを先につくってしまおう。そういうことじゃないですか。

  • >>897

    ――その仕組みをつくるための有識者会議であると?

    そうです。しかし、請求書がないのにいきなり、お金を出す仕組みをつくるなんてめちゃくちゃです。

    ――東電の場合、その廃炉費用はいくらぐらいになるんでしょうか?

     それが分からないのです。核燃料がどこにあるかも分からないし、世界を見回しても燃料デブリになったものを取り出したことはないのです。チェルノブイリだって置きっぱなしですからね。

    福島にはメルトダウンをした原発が3基もある。途方もない額になるのでしょうが、「廃炉費用はいくらです」と言ってしまうと、債務超過になりかねない。経産省は原発事故の直後から「東京電力は債務超過させないことを前提に支援する」と言い続けてきましたから、この前提を崩さないようにしているのです。

    ――原発事故直後、東電破綻処理の議論がされました。廃炉費用で債務超過になるんなら、潰すべきじゃないか。そこに立ち戻るべきですね。

     その通りです。廃炉費用を算出して債務超過になったら東電を解体し、資産を売却する。そうやって国民負担を少なくする。こういうプロセスを踏まなければいけません。

    ――しかし、国はそうしない。なんだかこのままだとブラックホールのような東電に国民の税金が吸い込まれてしまうような気がします。

     東電は今まで「研究資金」と称して公的資金で凍土壁をつくって失敗に終わるなど、無駄なお金をじゃぶじゃぶ使っています。東電に廃炉資金を出してやる仕組みをつくれば、また同じようなことになりかねません。