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(株)スターフライヤー【9206】の掲示板 2016/01/30〜2016/04/14

 ■「働きやすいように明るく行こう」 

靴磨きに汗流す社長・松石禎己氏

「東京で商談ですか。うまくいくといいですね」平成27年4月20日。早朝の北九州空港(北九州市小倉南区)の搭乗待合室で、黒エプロンを着けた男らが、額に汗をにじませながら、ビジネス客の革靴を磨いていた。航空会社、スターフライヤーの社員だ。その中で、社長の松石禎己(63)はひときわ威勢良く、冗談まじりに声をかけた。「ずいぶん使い込んでますね。このまま東京に行ったら、からかわれるかもしれませんよ」靴磨きの立案者は、松石本人だった。羽田空港周辺で、スターフライヤーの便が到着する早朝、靴磨きの店が開いていないことに気付いたからだった。地元・北九州のビジネスマンが、きれいな靴で胸を張って仕事ができるよう、サービスを始めた。靴磨きにいそしむ航空会社の社長の姿は、広くメディアに取り上げられた。スターフライヤーの顧客サービスと知名度の向上に寄与した。だが、松石の真の狙いは別にあった。

トップである自分が、泥臭いことに取り組む姿を社員に見せることだった。泥臭さは松石の信条だ。スターフライヤーは18年3月16日、北九州-羽田線に第1便を就航した。機体は、黒と白のスタイリッシュなカラーとした。座席は間隔を他社より12~15センチ広くし、革張りシートを備えた。客席数を犠牲にしても、ちょっとぜいたくで心地よい客室を心がけた。機体の運航効率を上げ、日本航空や全日空に比べて割安な料金を設定した。良質なサービスと料金設定で路線拡大にひた走った。

だが、逆風が襲う。

スターフライヤーより料金が安いLCC(格安航空会社)が24年以降、急速に台頭した。大手2社も値引き攻勢を仕掛けてきた。
さらに25年、機体のリース費用が想定を上回り、大幅な赤字に陥った。24年12月に筆頭株主となった全日空の支援を受けて、立て直しを図ることになった。そして、全日空から社長として送り込まれたのが松石だった。松石は運航整備部門のエキスパートだった。機体整備を担当するANAエアロサプライシステムの社長などを歴任した後、全日空を退職していた。ただ、松石の実直で粘り強い性格を、全日空会長の伊東信一郎(65)=現ANAホールディングス会長=は、よく知っていた。だからこそ、松石を指名した。26年3月、まず顧問として着任した松石は、前経営陣が策定した30ページほどの「経営合理化計画」に目を通した。唯一の国際線「北九州-釜山」の廃止や、30人規模の希望退職-。業績回復の道筋が示されていた。「自分と同じ考えだ。特に大きな変更をすることはない。自分の役割は、これをしっかり果たすことだ」松石は納得した表情で計画を閉じた。

 だが、気にかかったことがあった。