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日本ハウズイング(株)【4781】の掲示板 2015/04/09〜

【M&A判例】 2020/09/01
4781日本ハウズイング
原弘産 敵対的買収 委任状 株主名簿閲覧謄写請求権 会社法 判例

2.日本ハウズイング事件とは
2008年当時、大証2部※に上場していた不動産分譲会社の原弘産が、東証2部※に上場していたマンション管理会社の日本ハウズイングへ敵対的買収を仕掛けました。原弘産は子会社の井上投資と合わせて日本ハウズイングの株式の約 16%を保有する大株主となりましたが、日本ハウズイングはTOBに抵抗したため両社間で争いが発生しました。※現在は両社とも非上場

2008年6月27日、日本ハウズイングの株主総会において、原弘産は「買収防衛策の不発動」などの株主提案を行っていました。同社は他の株主情報を入手して委任状の勧誘に利用しようと考え、日本ハウズイングへ株主名簿閲覧謄写請求をしました。

3.東京地方裁判所の判断
東京地方裁判所は、原弘産と日本ハウズイングが不動産業という同種の事業を行っていたことから「実質的に競争関係にある」として原弘産による株主名簿閲覧謄写請求を却下しました(東京地裁平成20年5月15日)。

4.東京高等裁判所の決定
原弘産は地裁の判断を受け入れず、東京高等裁判所へ即時抗告を行いました。すると、高裁は原弘産による株主名簿閲覧謄写請求を「認める」という逆転決定を行いました。

その決定理由は、以下の通りです。
・原弘産と日本ハウズイングが同業者というだけで株主名簿閲覧謄写請求権を否定するには合理的な根拠を見出しにくい
・原弘産の請求は株主への委任状勧誘に用いる目的であることが明確になっており、他の目的に使用しないと誓約していることから原弘産の権利は疎明されている(疎明とは、証明よりも軽度な説明のことです。仮処分が認められるには疎明が必要です)
・公開情報によって大株主は判明しているが、原弘産が他の株主情報を把握するために株主名簿の閲覧謄写が必要

5.本決定の意義 ~会社法の改正へ~
日本ハウズイング事件の東京高裁決定により「同種事業を営む競合会社であっても株主権を行使するためであれば株主名簿の閲覧謄写が認められる」ことが明示されました。

現在TOBを進める際には、競合会社であってもそのことだけを理由に株主名簿閲覧謄写請求を拒絶される可能性はありません。

M&A Online編集部