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(株)オリエンタルランド【4661】の掲示板 2015/04/28〜2015/04/29

2015/04/27 18:36 トムソンロイター 〔クロスマーケットアイ〕世界一安い日本のディズニーランド、円安でUSJは外人客急増


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[東京 27日 ロイター] - 日本のディズニーランドの入場料はいま世界一安い。円安効果のおかげだ。外国人観光客の占める割合はまだわずかだが、価格的な魅力が増しており、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)では外国人客は7─8割増ペースだという。インバウンド消費が救世主となっている日本の消費だが、再び円高が進行した場合でも、「リピーター」として来てもらえるような体制整備が必要だろう。

  <フロリダの半額>
  
世界のディズニーランドは、全部で5カ所。米国のカリフォルニアとフロリダ、フランスのパリ、香港、そして日本の東京(住所は千葉県浦安市)だ。

現地通貨ベースの入場料(大人1人)はカリフォルニアが96ドル、フロリダが105ドル、パリが69ユーロ、香港が499香港ドルとなっている。円ベースで換算した価格はカリフォルニアが約1万1400円、フロリダが約1万2500円、パリが約8900円、香港が約7600円だ。

日本の東京ディズニーランドは4月1日に、6500円から6900円に上げたばかりだが、円安効果によって世界5カ所のなかで最も安いことになる。フロリダと比べれば、約半額だ。サービス内容も各国で異なり、単純には比較できないが、相対的な価格的魅力は増している。

ディズニーランドとディズニーシーを合わせた2014年の入場者数は3137万人と過去最高。そのうち外国人客の比率はまだ明らかになっていないが、13年は3.9%と07年に記録した過去最高の4.2%に迫っている。
  
大阪のUSJでも外国人客が急増中だ。全体の比率はまだ1割にも満たないが、7─8割増ペースで伸びており、年間70万人程度まで膨らんでいるもようだ。「買い物だけでなく、レジャーなども楽しむアジアからの観光客が増えている」(広報部)という。

  <2020年目標に今年接近も>
  
2014年に訪日した外国人は、過去最高の1341万4000人(日本政府観光局)。前年比で29.4%と大きく伸びたが、今年に入って勢いはさらに加速しており、1─3月の前年比は43.7%増。今年いっぱいこの伸びが続けば、年間で1927万人となり、2020年をめどとした政府目標に早くも接近する。

政府主導での外国人観光客を呼び込む努力も実りつつあるが、やはり直接的に効果があったのは円安だろう。
2012年10月には1ドル80円そこそこだったドル/円は、120円まで5割円安が進んだ。80円で計算すればディズニーランドの入場料は、カリフォルニアが7680円、フロリダが8400円と日本とあまり変わらなくなる。

全世帯消費が2月まで実質ベースで11カ月連続で減少するなど、消費増税後の国内主体の消費支出は依然弱いが、2月の小売販売額が季節調整済前月比では0.7%増と持ち直した。消費と売上げの「ギャップ」が生じているのは、海外勢のインバウンド消費が売り上げに貢献していることが大きいとみられている。
  
三井住友アセットマネジメント・チーフエコノミストの宅森昭吉氏は「名目ベースでは日本人が海外で使うお金よりも、海外勢が日本で使うお金の方が昨年大きくなった。GDP(国内総生産)にもプラス面に働き始めている。世界的に景気減速が懸念されているが、円安効果とアジアの生活水準の向上が背景だろう」と指摘する。

  <円安メリットを最大限に生かすことが重要>
  
  ただ、円安にはメリット・デメリット両方がある。国内の消費が弱いのは、消費増税による影響が長引いているだけでなく、円安による輸入物価の上昇も一因だ。外国人観光客の購買力が上昇している半面、日本人旅行客の購買力は低下している。

英エコノミスト誌が算出する「ビッグマック指数」。日米のマクドナルドが販売するハンバーガー「ビッグマック」の価格を比べると、今年1月時点のデータで、日本が370円、米国が4.79ドル。当時のドル円が117.77円だったので、日本の370円をドル換算すると3.14ドルになるが、米での価格は4.79ドルだ。

日本人観光客が米国でビッグマックを買おうとすると、ずいぶん高いと感じるはずだ。円安とは円の価値が下落することであり、海外での購買力は低下する。
  
  ニッセイ基礎研究所・取締役経済研究部部長の宮垣淳一氏は「円安にはメリットもデメリットもある。今のうちに円安のメリットを最大限に生かす努力をしておかなければ、為替が円高に振れたときにまた同じことになってしまう」と警告する。
  
貿易黒字縮小や日銀の金融緩和など円安材料が並び、市場では再び1ドル80円のような円高に振れる可能性は小さくなっているとみられている。しかし、マーケットは水物。いつ「踵(きびす)」を返して円高が進むかわからない。

観光では、為替動向に影響されにくい「リピーター」をいまのうちに作るなど、円安で生まれたチャンスを生かすことが、日本経済を持続的な成長軌道に乗せる条件だろう。
  
(伊賀大記 編集:田巻一彦)