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(株)ジパング【2684】の掲示板

なかなか面白い記事です。


「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 平成25(2013)年1月3日(木曜日) 通巻第3849号 <新春増大号> 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

金貨は悪貨を駆逐する ブレトンウッズ体制の変質の影で *******************

金(ゴールド)をめぐる動きが活発化している。 世界一の投機家といわれるジョージ・ソロスが大量に金塊を 購入し、金鉱山企業に投資し始めている。春からの動きで、商 品市場関係者やファンド筋が注目している。 というのも日本のマスコミには伝わらないが、国際情勢の裏 側では「金本位復帰論」が経済論壇、投資サークル、通貨ヘッ ジ・ファンドの世界を猖獗している。 草の根民主主義やティパーティなど米国保守派の間で金本位 復帰論は「常識化」している。この事態の深刻さを認識してい ないのは国際政治の蚊帳の外に置かれた日本くらいではないの か。 欧米のみならず中東から印度、中国にかけて目端の利く投資 アドバイザーらは「十年以内に世界通貨体制の基軸から米ドル とユーロが降りて、金、プラチナ通貨が主流となり、金本位制 度が復活する」と言っている。

はじめは漣(さざなみ)ていどの噂だったが、いまやゴール ドショップは長い列、欧米の通貨は中国や印度やブラジルなど 新興工業国家の外貨準備から徐々に外されているのだ。しかる に日本では金本位制復帰論など「荒唐無稽」「アナクロ」「バ カも休み休み言え」と受け取られ、目下の話題は「インフレ率 2%が目標」という安倍次期政権の標語である。 尖閣諸島を中国軍が攻撃しても米国が守ってくれると考える のは一種信仰に近い平和ぼけであるように、ペーパーマネーに よる国際通貨体制の崩壊というシナリオも考えられない事態で はない。

シュメールやメソポタミアからの世界史を振り返っても、通 貨の興亡は悲劇と喜劇を演じたが、永遠不滅に変わらない価値 は金(ゴールド)だった。ヒッタイト、カルタゴ、ローマの金 備蓄をみよ。

▼金本位制復帰の準備がない日本

2008年のリーマン・ショック以後、金価格は連騰、高騰 を演じ、一オンス=1700ドル台からいずれ2000ドル台 をうかがう気配となっている。 そのうえ世界中で産金ブーム、金消費は旺盛である。日本に は中国から「押し買い」が目立つ。ごっそりと金地金が中国へ 輸出されている。 中国は産金と金消費で世界一だが、国家備蓄としての金も世 界四位に食い込んで米・独・仏を追い、英国を抜いた。ドイツ は日本と同様に金備蓄ゼロだったが静かに着実にため込んだう え最近は米国フォート・ノックスに預けた金塊の返還を求めて いる。オランダも、この列に加わったが、日本は米国に信頼を 置いて預けたまま、しかも国家意思として増加させる気配がな い。 世界経済論壇ではロバート・ゼーリック前世銀総裁が「金本 位復帰は選択肢のひとつ」と明言し、ノーベル経済学者のロ バート・マンデル教授が金本位理論を唱えている。 具体的にどうするか詳細なプランは不透明だが、金とリンク した新札、金と兌換できる米国国債の売り出し等、多角的なこ とが考えられる。列強はひそかに金本位制度へ復帰を画策して おり、戦後の世界経済システムを米ドル基軸と決めたブレトン ウッズ体制が大きく揺らぎはじめた。 (「北国新聞」「北風抄」、12 月24日からの再録です) □□ 〜〜〜〜〜〜〜