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(株)創建エース【1757】の掲示板 2021/04/15〜2021/04/20

>>598

1. 株主総会に出席する役員の人数

 本年の株主総会では、新型コロナウイルスの感染拡大防止や役員自身の感染リスクを回避するために、株主総会に出席する役員を一部の役員に限定することが考えられますが、役員が株主総会を欠席することは会社法上、許容されるでしょうか。

 この点、会社法において、取締役、監査役等の役員の株主総会への出席は、株主総会成立の要件とはされていません。しかし、取締役、会計参与、監査役及び執行役は、説明義務を負うため(会社法314条)、一般的には株主総会への出席義務があると解されています。もっとも、合理的な理由がある場合には欠席することは許されると解されており[1]、また、欠席したことで直ちに株主総会が違法になるわけではなく、役員が株主総会を欠席した結果、株主からの重要な質問に対して適切な説明がないまま株主総会決議が強行されたような場合(説明義務の違反があった場合)に、株主総会決議の取消し対象になると解されています[2]。

 そして、現下の状況に鑑みれば、新型コロナウイルスの感染拡大の防止を図るという理由や役員自身の感染リスクを避けるという理由は、株主総会を欠席する合理的な理由になるのではないかと考えられます。そこで、本年の株主総会においては、株主総会当日までに、説明義務を適切に履行するという観点から、どの役員が出席していれば、株主からの質問に対して十分に説明を果たせるかを検討し、説明義務を適切に履行するための最低限の人数(監査役会設置会社であれば、最低限、取締役と監査役それぞれ1名が出席するなど)の出席にとどめ、それ以外の役員は欠席するといった対応をとることが考えられます。なお、出席予定だった役員が発熱等のために株主総会への出席を控えるべき状況になることも考えられますので、そのような場合に、代わりに出席する役員を検討し、代わりの役員であっても、適切に説明義務を履行できるように準備しておくことも必要であると考えられます。

[1] 江頭憲治郎=中村直人編著『論点体系 会社法2 株式会社II』492頁(第一法規、2012年)