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逆に含み損が高水準に上っているのが、国債だ。金利の上昇で保有する国債の価値が下がった結果、3月末の含み損は9兆円を超えた。過去最大だった23年9月末時点の10兆5000億円よりは少ないものの、1年前の23年3月末の1571億円からは含み損が大幅に拡大した。 日銀は国債を満期まで持ちきることを前提にしているため、含み損があっても目先の損失に直結することはない。今後日銀の重荷になるのは、金融機関への利息支払いだ。 日銀は3月にマイナス金利を解除し、民間金融機関が日銀に預けている当座預金への付利金利をプラス0.1%に引き上げることで政策金利をプラスに誘導している。利上げが進めば利息負担がかさみ、保有債券の利回りが上がることによる収益効果を相殺すると、赤字に転じる可能性が出てくる。 野村総合研究所の木内登英氏が23年度上期の日銀の財務データをもとに試算したところ、政策金利が0.6%程度まで引き上げられると経常赤字に転じる結果となった。さらに2.8%まで上がれば債務超過に陥る可能性があるという。現在の金利は0.1%と極めて低く、2.8%は「かなり将来まで見ても考えにくい」(木内氏)水準ではあるものの、政策金利が上がるほど日銀の財務悪化の懸念も増す。 利上げが進む海外の中央銀行では、すでに国庫納付の停止が起きている。米連邦準備理事会(FRB)は急ピッチで利上げを進めた22年後半に赤字が拡大。FRBが納める国庫納付は22年9月ごろに止まった。 金利上昇により日銀からの納付金が減ると、政府財源の減少につながる。納付金は国の歳入になり、納付が上振れすると剰余金を押し上げてきた。増える防衛費の確保などの観点から重要な財源とみなされており、政治サイドにも将来の納付金減少の懸念に対する警戒感がくすぶっている。 中央銀行は自ら通貨を発行できることなどから、財務の悪化自体に問題はないというのが一般的な見方だが、通貨の信認低下につながるなどのリスクを指摘する声もある。日銀は「財務リスクが注目されて無用の混乱が生じる場合、そのことが信認の低下につながる」とも認識している。 巨大なバランスシートをどのように混乱なく調整していくかは、異次元緩和を終えた日銀を待ち受ける大きな論点の一つとなっている。
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米商業不動産の苦境、最高格付けでもCMBSに損失-金融危機後で初 Carmen Arroyo、Natalie Wong 2024年5月24日 1:12 JST マンハッタンのオフィス物件、トリプルA格付け部分で26%の損失 最も安全とされるCMBSでも痛みが広がる恐れとの声 米国で最高格付けを付与された商業用不動産担保証券(CMBS)が世界的な金融危機の後で初めて損失を出した。 損失が出たのはニューヨーク市マンハッタンにあるビル「1740ブロードウェイ」のモーゲージ債権を裏付けとする3億800万ドル(約483億5900万円)相当の債券。ローンが大幅なディスカウントで売却されたことを受けて、トリプルA格付け部分の買い手は、投資額の75%未満しか回収できなかった。バークレイズによると、このような債券で損失が出たのは金融危機の後で初めて。これより下位の5つの債権者グループは全額を失った。 投資回収を確実にするための安全策を乗り越えて、痛みが最上位の債権者にまで及んだことは、米商業用不動産市場の一角が陥っている苦境を物語ると指摘されている。 進まぬオフィス復帰、190兆円の不動産価値消失も-働き方に正解なく 今回のような物件はとりわけ脆弱(ぜいじゃく)だという。単一の中核テナントが大半のスペースを占める古いオフィスビルで、単一のモーゲージに裏付けられた債券であることがその要因だ。大幅なディスカウントでローンが売却されるのに伴い、損失はさらに拡大するとの見方がアナリストの間で出ている。 バークレイズのCMBSストラテジスト、リア・オーバービー氏は「トリプルA格付けの商業用不動産担保証券で初の損失が出たことで、他の最上位債券にも痛みが広がるのは間違いないだろう」と指摘。「こうした損失は、商業用不動産市場が最悪期に突入し始めている兆候かもしれない」と述べた。 非エージェンシーCMBSの発行残高は約7000億ドルで、銀行のバランスシートにはさらに3兆ドルの商業用モーゲージ債権がある。そのため損失がわずかに増えるだけでも、数年にわたり金融システムの足かせとなりかねない。 AAA Holders of 1740 Broadway CMBS Get Hit Lower ranking creditors are wiped out Source: Deutsche Bank AG この物件は投資会社ブラックストーンが2014年に6億500万ドルで取得。同社は資金を手当てするため、3億800万ドルのモーゲージを組んだ。モーゲージ債権はCMBSに証券化され、トラベラーズやエンデュランス・アメリカン・インシュアランスなどが購入した。 同物件は下着ブランド「ビクトリアズ・シークレット」などの元親会社Lブランズが賃貸スペースの77%を占めていたが、 同社は2021年にビルから撤退する意向を示した。ブラックストーンは多額の資金を投じて物件を改装したが、オフィス需要の低迷で新たなテナントの確保が難航。賃料を支払うテナントの不在で、ブラックストーンは22年に物件から手を引き、モーゲージの返済を履行しなかった。 その後、不良債権を扱うスペシャルサービサーとブラックストーンは最近になって同物件をイエローンストーン・リアル・エステートに約1億8600万ドルで売却することで合意した。内情を知る関係者が明らかにした。この取引により、CMBSは返済された。だが、手数料などの追加損失で、債券保有者には1億1700万ドルしか残らなかった。1億5100万ドル相当の低格付け部分の債券保有者は全額を失い、1億5800万ドルのトリプルA格付け部分の債券保有者には26%の損失が出た。 ジャナス・ヘンダーソンの米国証券化商品責任者、ジョン・カーシュナー氏はインタビューで「この取引は、賃料の大半を単一のテナントに依存しているオフィスビル物件で最悪の状況が重なった」と指摘。「オフィス関連の債券はもっと打撃を受けるだろうが、それには一定の時間がかかる。リースやオフィスのモーゲージは非常に長期だからだ」と述べた。 ブラックストーンの広報担当者は「この物件は3年近く前に減損処理を行った。当社のポートフォリオに占める伝統的な米国オフィスの割合は2%に満たない。これは新たな動向ではなく、約6000億ドル近い当社ポートフォリオの中でもまれな例だ」とコメントした。 イエローストーンの担当者はコメントの要請に応じていない。
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米商業不動産の苦境、最高格付けでもCMBSに損失-金融危機後で初 2024年5月24日 マンハッタンのオフィス物件、トリプルA格付け部分で26%の損失 最も安全とされるCMBSでも痛みが広がる恐れとの声 米国で最高格付けを付与された商業用不動産担保証券(CMBS)が世界的な金融危機の後で初めて損失を出した。 モーゲージ債権を裏付けとする3億800万ドル(約483億5900万円)相当の債券。ローンが大幅なディスカウントで売却されたことを受けて、トリプルA格付け部分の買い手は、投資額の75%未満しか回収できなかった。 バークレイズによると、このような債券で損失が出たのは金融危機の後で初めて。これより下位の5つの債権者グループは全額を失った。 投資回収を確実にするための安全策を乗り越えて、痛みが最上位の債権者にまで及んだことは、米商業用不動産市場の一角が陥っている苦境を物語ると指摘されている。 進まぬオフィス復帰、190兆円の不動産価値消失も-働き方に正解なく 大幅なディスカウントでローンが売却されるのに伴い、損失はさらに拡大するとの見方がアナリストの間で出ている。 バークレイズ 「トリプルA格付けの商業用不動産担保証券で初の損失が出たことで、他の最上位債券にも痛みが広がるのは間違いないだろう」 「こうした損失は、商業用不動産市場が最悪期に突入し始めている兆候かもしれない」 非エージェンシーCMBSの発行残高は約7000億ドルで、銀行のバランスシートにはさらに3兆ドルの商業用モーゲージ債権がある。そのため損失がわずかに増えるだけでも、数年にわたり金融システムの足かせとなりかねない。 この物件は投資会社ブラックストーンが2014年に6億500万ドルで取得。同社は資金を手当てするため、3億800万ドルのモーゲージを組んだ。モーゲージ債権はCMBSに証券化され、トラベラーズやエンデュランス・アメリカン・インシュアランスなどが購入した。 ジャナス・ヘンダーソン この取引は、賃料の大半を単一のテナントに依存しているオフィスビル物件で最悪の状況が重なった」と指摘。「オフィス関連の債券はもっと打撃を受けるだろうが、それには一定の時間がかかる。リースやオフィスのモーゲージは非常に長期だからだ」と述べた。
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米国で最高格付けを付与された商業用不動産担保証券(CMBS)が世界的な金融危機の後で初めて損失を出した。 損失が出たのはニューヨーク市マンハッタンにあるビル「1740ブロードウェイ」のモーゲージ債権を裏付けとする3億800万ドル(約483億5900万円)相当の債券。ローンが大幅なディスカウントで売却されたことを受けて、トリプルA格付け部分の買い手は、投資額の75%未満しか回収できなかった。バークレイズによると、このような債券で損失が出たのは金融危機の後で初めて。これより下位の5つの債権者グループは全額を失った。 投資回収を確実にするための安全策を乗り越えて、痛みが最上位の債権者にまで及んだことは、米商業用不動産市場の一角が陥っている苦境を物語ると指摘されている。 今回のような物件はとりわけ脆弱(ぜいじゃく)だという。単一の中核テナントが大半のスペースを占める古いオフィスビルで、単一のモーゲージに裏付けられた債券であることがその要因だ。大幅なディスカウントでローンが売却されるのに伴い、損失はさらに拡大するとの見方がアナリストの間で出ている。 バークレイズのCMBSストラテジスト、リア・オーバービー氏は「トリプルA格付けの商業用不動産担保証券で初の損失が出たことで、他の最上位債券にも痛みが広がるのは間違いないだろう」と指摘。「こうした損失は、商業用不動産市場が最悪期に突入し始めている兆候かもしれない」と述べた。 非エージェンシーCMBSの発行残高は約7000億ドルで、銀行のバランスシートにはさらに3兆ドルの商業用モーゲージ債権がある。そのため損失がわずかに増えるだけでも、数年にわたり金融システムの足かせとなりかねない。 Bloombergより リーマンショックの前触れか?CLOの優先債券は農中だけでなく日本の中堅以下の金融機関、生保損保も投資してたと思う。今回の件はリスクが集中していた特殊な案件かも知れないが警戒感は必要かと思われ
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長期金利、11年ぶり1%到達 復活する「金利ある世界」 長期金利が1%の大台に到達した。22日の国内債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが上昇(債券価格は下落)し、一時1%を付けた。1%は2013年5月以来およそ11年ぶり。日銀が国債を大量に買う異次元緩和で長期金利は長くゼロ%台やマイナス圏に抑え込まれてきたが、1%に到達したことで「金利ある世界」が現実のものとなってきた。 長期金利を押し上げたのは日銀が追加の金融政策修正に動くという市場の思惑だ。日銀は24年3月にマイナス金利の解除など政策修正をおこなった。ただ、その後も円安が止まらず、円安による物価押し上げをとどめるために日銀が早期に追加の利上げや国債買い入れの減額に動くとの見方が強まっている。 長期金利1%乗せのきっかけになったのは、財務省が22日昼に実施した40年物国債入札。生命保険会社など償還年限が長い国債を欲する投資家の需要が想定よりも集まらない「弱め」の結果となったことで、需給の緩みを意識した債券売りが出て0.98%前後で推移していた長期金利は午後2時過ぎに1%に達した。 長期金利は住宅ローンの固定金利を算出する際に参照することが多い。企業の資金調達にも影響を及ぼす。政府がお金を借りる際の金利であるため、政府が金利の支払いに割かなくてはならない金額は膨らむ。 長期金利は12年4月から1%割れの水準が定着した。13年3月に日銀総裁に黒田東彦氏が就任すると、市場に大量のマネーを供給する「異次元緩和」政策を開始。日銀のバランスシートに国債を年50兆円という異例のペースで積み上げることで長期金利を押し下げた。
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原因はバランスシートの見方を間違っているか、ご存じ無いかでしょう。 投資をする前に 貸借対照表の見方から始めてください と進言します。
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――日本の中小型投資の問題点はどこにありますか。 「英文資料が圧倒的に不足している点だ。16年に日本株投資を始めた頃は、現在投資している企業のほとんどが英文資料を開示していなかった。会社との対話も難しくこれまで企業とのミーティングも数社ほどしかできていない」 「英文資料が不足しているため主にキャッシュフロー計算書を重視して、投資判断している。日本企業の貸借対照表(バランスシート)には多くの資産が計上されており、現在の市場価値は記載されている価格よりもかなり高いとみられる資産も散見される。日本では他の国よりもバランスシートを分析するようにしている」 ――日本市場に注目したきっかけや中小型市場の今後についての見方を教えてください。 「12〜13年は海外投資家が日本市場に総じて悲観的な時期だった。逆張り投資家の私は、ほかの投資家が見落としている銘柄があるのではないかと目を付けて分析を始めた。日本株投資を本格的に開始したのは16年だ。今後1年で今は保有していない、防衛や人事サービスを扱う銘柄などを増やしたいと考えている」 「東証の要請に応える形で、中小企業もコーポレートガバナンス(企業統治)の改善がみられる。また、現預金が積み上がっており配当などの株主還元に積極的な姿勢も目立ってきた。中小企業でも英文開示がさらにすすめば海外投資家も投資しやすくなる。これから5年あるいは10年かけて中小型銘柄にも物色の広がりがみられるようになるだろう」
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日銀、利上げより先に国債減額? 円安対応で市場に観測 日銀が国債買い入れの減額を議論している。4月の金融政策決定会合の「主な意見」には、減額を支持する政策委員の見解が複数紹介された。日銀は月間の国債買い入れ額を3月までの6兆円程度で維持している。市場は日銀が足元の円安に歯止めをかけるため、利上げよりも先に国債買い入れの減額方針を示す可能性を意識し始めている。 「どこかで削減の方向性を示すのが良い」「バランスシートの圧縮を進めていく必要がある」「減額は選択肢」――。日銀が公表した4月の「主な意見」には、国債買い入れの減額に言及する3つの政策委員の見解が記載されていた。 植田和男総裁は8日の東京都内の講演で「今後、大規模な金融緩和からの出口を進めていくなかで、国債の買い入れを減額していくことが適当だ」と指摘していた。政策委員内では既に4月会合時点で踏み込んだ議論が交わされた形跡がある。 市場では足元の円安を受けて、日銀が年内にも追加利上げに踏み込むとの観測が広がる。ただ経済の腰折れリスクが拭えないなかで「ハードルが高い」(財務省幹部)との慎重論が根強い。 その一方、為替市場からは「日米金利差がここまで大きいと、利上げより量的引き締めが円安の歯止めになるかもしれない」との声が聞こえ始めた。次回6月会合での利上げを予測する声は多くないが、代わりに日銀が同じ引き締め方向である国債買い入れの減額方針を示す可能性を意識している。 BNPパリバ証券の河野龍太郎氏は「次回6月会合にも減額の方針が決定される可能性が高い。(6月会合で利上げを見送った場合に)一段の円安が進むことへの対症療法ととらえることもできる」と指摘する。第一生命経済研究所の藤代宏一氏も「円金利の上昇圧力が収まっていれば可能性(6月の減額方針決定)は高まる」との見方だ。 日銀は3月にマイナス金利政策やイールドカーブ・コントロール(YCC)を解除した後も、国債買い入れ量を維持してきた。3月の買い入れ実績は5.9兆円、4月は5.8兆円だった。ある程度の幅を持って事前に示している買い入れ予定額の中でなら、事務方の裁量で購入額を上下させられる運用だが、1カ月以上がたっても変化はみられない。
2024年5月29日 ロ…
2024/06/03 10:55
2024年5月29日 ロイター] - コンファレンス・ボード(CB)が28日に発表した5月の米消費者信頼感指数は102.0と、4月の97.5(前回発表の97.0から上方改定)から上昇した。ロイターがまとめたエコノミスト予想(95.9)に反し、4カ月ぶりに上昇に転じた。労働市場に対する楽観的な見方を受けた。 信頼感指数の上昇は全ての年齢層で見られた。また年収10万ドル超の世帯で信頼感が最も大きく上昇した。6カ月移動平均では、35歳未満の年齢層および年収10万ドル超の世帯の信頼感が引き続き最も高かった。 CBのチーフエコノミスト、ダナ・ピーターソン氏 「5月は現在の労働市場の状況に対する見方が改善した」と指摘。「とはいえ、全体的な信頼感指数は、2年以上にわたって推移してきた比較的狭いレンジ内にとどまった」と述べた。 雇用情勢については、職が「十分」と「就職困難」の回答から算出する労働市場格差に関する指数が24.0。前月は22.9だった。 JPモルガンのエコノミスト、マイケル・ハンソン氏 「この指標の水準は歴史的基準から見て依然として高く、労働市場が依然として堅調であることを示している」と述べた。 ネーションワイドの金融市場エコノミスト、オーレン・クラッキン氏 「価格や借り入れコストの上昇にもかかわらず、雇用の継続的な増加、賃金の上昇、活況を呈する株式市場、そして健全な家計のバランスシートによって消費者の支出は維持される」とした。 12月先のインフレ期待は5.4%と、4月の5.3%から上昇した。 ピーターソン氏は 「消費者は特に食料品の価格が米経済に対する見方に最も大きな影響を与えると指摘した」とし、「おそらくその結果として、今後1年間に金利が上昇すると予想する消費者の割合も55.2%から56.2%に増加した」と述べた。 調査対象となった消費者の約48.2%が今後1年間で株価が上昇すると予想。一方、25.4%が下落を予想した。 今後1年間にリセッション(景気後退)が起こる可能性を感じている消費者の割合は2カ月連続で増加した。 また、今後6カ月間の主要家電製品の購入計画を測る指数は4月の43.0から49.4に上昇。テレビ、冷蔵庫、掃除機、衣類乾燥機がけん引した。