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日経平均株価【998407】の掲示板 2024/05/27

米商業不動産の苦境、最高格付けでもCMBSに損失-金融危機後で初
Carmen Arroyo、Natalie Wong
2024年5月24日 1:12 JST
マンハッタンのオフィス物件、トリプルA格付け部分で26%の損失
最も安全とされるCMBSでも痛みが広がる恐れとの声
米国で最高格付けを付与された商業用不動産担保証券(CMBS)が世界的な金融危機の後で初めて損失を出した。

  損失が出たのはニューヨーク市マンハッタンにあるビル「1740ブロードウェイ」のモーゲージ債権を裏付けとする3億800万ドル(約483億5900万円)相当の債券。ローンが大幅なディスカウントで売却されたことを受けて、トリプルA格付け部分の買い手は、投資額の75%未満しか回収できなかった。バークレイズによると、このような債券で損失が出たのは金融危機の後で初めて。これより下位の5つの債権者グループは全額を失った。

  投資回収を確実にするための安全策を乗り越えて、痛みが最上位の債権者にまで及んだことは、米商業用不動産市場の一角が陥っている苦境を物語ると指摘されている。

進まぬオフィス復帰、190兆円の不動産価値消失も-働き方に正解なく

  今回のような物件はとりわけ脆弱(ぜいじゃく)だという。単一の中核テナントが大半のスペースを占める古いオフィスビルで、単一のモーゲージに裏付けられた債券であることがその要因だ。大幅なディスカウントでローンが売却されるのに伴い、損失はさらに拡大するとの見方がアナリストの間で出ている。

  バークレイズのCMBSストラテジスト、リア・オーバービー氏は「トリプルA格付けの商業用不動産担保証券で初の損失が出たことで、他の最上位債券にも痛みが広がるのは間違いないだろう」と指摘。「こうした損失は、商業用不動産市場が最悪期に突入し始めている兆候かもしれない」と述べた。

  非エージェンシーCMBSの発行残高は約7000億ドルで、銀行のバランスシートにはさらに3兆ドルの商業用モーゲージ債権がある。そのため損失がわずかに増えるだけでも、数年にわたり金融システムの足かせとなりかねない。

AAA Holders of 1740 Broadway CMBS Get Hit
Lower ranking creditors are wiped out

Source: Deutsche Bank AG
  この物件は投資会社ブラックストーンが2014年に6億500万ドルで取得。同社は資金を手当てするため、3億800万ドルのモーゲージを組んだ。モーゲージ債権はCMBSに証券化され、トラベラーズやエンデュランス・アメリカン・インシュアランスなどが購入した。

  同物件は下着ブランド「ビクトリアズ・シークレット」などの元親会社Lブランズが賃貸スペースの77%を占めていたが、 同社は2021年にビルから撤退する意向を示した。ブラックストーンは多額の資金を投じて物件を改装したが、オフィス需要の低迷で新たなテナントの確保が難航。賃料を支払うテナントの不在で、ブラックストーンは22年に物件から手を引き、モーゲージの返済を履行しなかった。

  その後、不良債権を扱うスペシャルサービサーとブラックストーンは最近になって同物件をイエローンストーン・リアル・エステートに約1億8600万ドルで売却することで合意した。内情を知る関係者が明らかにした。この取引により、CMBSは返済された。だが、手数料などの追加損失で、債券保有者には1億1700万ドルしか残らなかった。1億5100万ドル相当の低格付け部分の債券保有者は全額を失い、1億5800万ドルのトリプルA格付け部分の債券保有者には26%の損失が出た。

  ジャナス・ヘンダーソンの米国証券化商品責任者、ジョン・カーシュナー氏はインタビューで「この取引は、賃料の大半を単一のテナントに依存しているオフィスビル物件で最悪の状況が重なった」と指摘。「オフィス関連の債券はもっと打撃を受けるだろうが、それには一定の時間がかかる。リースやオフィスのモーゲージは非常に長期だからだ」と述べた。

  ブラックストーンの広報担当者は「この物件は3年近く前に減損処理を行った。当社のポートフォリオに占める伝統的な米国オフィスの割合は2%に満たない。これは新たな動向ではなく、約6000億ドル近い当社ポートフォリオの中でもまれな例だ」とコメントした。

  イエローストーンの担当者はコメントの要請に応じていない。