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欧米 株式市場の掲示板

米商業不動産の苦境、最高格付けでもCMBSに損失-金融危機後で初

2024年5月24日
マンハッタンのオフィス物件、トリプルA格付け部分で26%の損失
最も安全とされるCMBSでも痛みが広がる恐れとの声

米国で最高格付けを付与された商業用不動産担保証券(CMBS)が世界的な金融危機の後で初めて損失を出した。

モーゲージ債権を裏付けとする3億800万ドル(約483億5900万円)相当の債券。ローンが大幅なディスカウントで売却されたことを受けて、トリプルA格付け部分の買い手は、投資額の75%未満しか回収できなかった。

バークレイズによると、このような債券で損失が出たのは金融危機の後で初めて。これより下位の5つの債権者グループは全額を失った。

投資回収を確実にするための安全策を乗り越えて、痛みが最上位の債権者にまで及んだことは、米商業用不動産市場の一角が陥っている苦境を物語ると指摘されている。

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大幅なディスカウントでローンが売却されるのに伴い、損失はさらに拡大するとの見方がアナリストの間で出ている。

バークレイズ
「トリプルA格付けの商業用不動産担保証券で初の損失が出たことで、他の最上位債券にも痛みが広がるのは間違いないだろう」
「こうした損失は、商業用不動産市場が最悪期に突入し始めている兆候かもしれない」

非エージェンシーCMBSの発行残高は約7000億ドルで、銀行のバランスシートにはさらに3兆ドルの商業用モーゲージ債権がある。そのため損失がわずかに増えるだけでも、数年にわたり金融システムの足かせとなりかねない。

この物件は投資会社ブラックストーンが2014年に6億500万ドルで取得。同社は資金を手当てするため、3億800万ドルのモーゲージを組んだ。モーゲージ債権はCMBSに証券化され、トラベラーズやエンデュランス・アメリカン・インシュアランスなどが購入した。

ジャナス・ヘンダーソン
この取引は、賃料の大半を単一のテナントに依存しているオフィスビル物件で最悪の状況が重なった」と指摘。「オフィス関連の債券はもっと打撃を受けるだろうが、それには一定の時間がかかる。リースやオフィスのモーゲージは非常に長期だからだ」と述べた。