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NEAとIAEAが世界のウラン資源関係報告書の最新版を公表

2018年12月26日

 経済協力開発機構・原子力機関(OECD/NEA)と国際原子力機関(IAEA)はこのほど、世界のウラン資源量や探査状況、生産量、需要量等に関する分析報告書「2018年版:ウラン資源、生産と需要」(通称「レッド・ブック」)を公表した。
 36か国から提供された2017年1月1日現在の公式データや5か国からの報告書の内容を取りまとめたもので、2035年までの世界の原子力発電設備容量やこれらで必要となるウラン所要量についても予測。将来的な電力需要量の増加や地球温暖化対策で原子力発電が果たす役割とは無関係に、世界のウラン供給量は予測可能な将来において、原子力発電所で必要となる量を十分上回るとの認識を示した。ただし、現時点で保存整備段階にあるウラン鉱床も含めて、タイムリーなウラン生産を行うには、相当量の投資や技術面の専門的知見が必要になると警告している。

 レッド・ブックはNEAとIAEAが2年に1度取りまとめているもので、今回の報告書は第27版目。世界のウラン市場動向に関する最新の分析結果を盛り込むとともに、世界のウラン産業についても関係する41か国のデータも含めて統計的側面を提示している。
 レッド・ブック最新版によると、2017年1月1日現在、1kgUあたり130ドル以下で回収可能な既知資源の量(確認資源量と推定資源量の合計)は614万2,200トンUで、2015年のデータから7.4%増加した。最も高コストなカテゴリー(260ドル以下で回収可能)では、前版から4.5%増の798万8,600トンUとなり、全体的な既知資源量は増加している。ただし、増加分は主に新たに発見された資源であり、これらでウランの生産に至るには追加の投資が必要になるとした。
 また、世界中のウラン探鉱と鉱山開発に費やされた年間の総支出額は、2014年時点の約21億ドルから2016年には約6億6,400万ドルに低下した。約59%も低下した理由の一部は、カナダのシガーレイク鉱山やナミビアのハサブ鉱山の開発に起因するが、2011年の半ば以降、世界でウラン市場の冷え込みが長期化していることから、支出額は今後も減り続けるとの予想を示している。
 世界のウラン生産量は、2015年から2016年にかけて3%増加し、約6万2,000トンUになった。しかし、2017年には約5万9,000トンUと減少し始めており、2018年にはさらに減少すると予想される。これは、ウラン価格の低迷が長期化しているのに呼応し、主要生産国であるカナダやカザフスタンなどが全体的な生産量を制限しているためだとしている。