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ゼネラル・モーターズ【GM】の掲示板

米GM、「1000万台クラブ」から脱落 18年販売13%減

米ゼネラル・モーターズ(GM)が6日発表した2018年の世界販売台数は17年比12.7%減の838万台だった。減少は2年連続で、8年ぶりに900万台を割りこんだ。2年前までトヨタ自動車、独フォルクスワーゲン(VW)と世界販売を競っていたGMは「1000万台クラブ」のシェア争いに背を向けて生産体制の引き締めを急ぐ。

「カナダ人はひとり300ドルを負担してGMの経営危機を救った。カナダで売りたいならカナダでつくれ」

3日に世界中継された米プロフットボールNFLの優勝決定戦スーパーボウル。全米でプレーの合間に放送されたトヨタ車のテレビCMの代わりに、カナダでは労働組合が作成したGMのリストラに反対する意見広告が流れた。

GMは昨年11月、北米で部品と完成車の5工場を閉鎖し、北米で15%の人員を削減すると発表した。本社がある米ミシガン州や、カナダ・オンタリオ州の工場が閉鎖対象となる。トランプ米大統領は「GMには失望した。補助金を打ち切る」と批判。スーパーボウルのCMをつくったカナダ最大労組「ユニフォー」は「工場を閉めるならGM車に40%の関税をかけるべきだ」と主張している。

だが、メアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)は一歩も引かない構えだ。1月25日には自身のツイッターに「我々は生き残らなければならない。厳しい判断だが、未来のための正しい戦略だ」と投稿した。6日の決算説明会でも「正しい戦略」という言葉を何度も繰り返した。

自動車メーカーは生産台数を増やすことで傘下のサプライチェーン(供給網)を大きくし、量産効果と生産現場の「カイゼン」による原価低減で利益を上げてきた。GMは販売台数でトヨタやVWと肩を並べてきたが、原価低減の取り組みが甘く、利益で水をあけられてきた。

バーラCEOは赤字が続いていた独オペルを仏グループPSAに売却して17年8月に欧州から撤退。16年に達成した「1000万台クラブ」の座をあっさり手放した。今年は本丸の北米市場でリストラに踏み込み、電気自動車(EV)の生産拡大に向けた体制を整備する。

  • >>33

    電池とモーターで動くEVへの移行が進めば、使用する部品や生産工程は大幅に減る。量産によって部品のコストダウンを重ねる従来の車づくりは一変する。バーラCEOは「稼働率7割の工場を残しておくわけにはいかない」とリストラの重要性を訴える。

    自動車メーカーがEVや燃料電池車(FCV)など次世代技術を個々に開発していた10年ほど前までは、巨額の開発費をまかなうために事業規模が重要だとされた。自動車メーカーの生き残りの条件は400万台とも600万台ともいわれ、各社が台数を競った。

    グーグルやアップルなどIT(情報技術)大手が自動車分野への進出を強めると、先進技術を巡る陣営づくりが一気に進んだ。GMはホンダやソフトバンクグループと連携し、自動運転の子会社に合わせて50億ドルの出資を受けた。ルノー・日産自動車・三菱自動車連合はグーグル陣営に合流する方針を固めた。

    技術開発の分業と費用分担が進めば、販売台数は必ずしも自動車メーカーが生き残るための条件ではなくなる。バーラCEOは「新しい競争において我々は強いポジションにいる。交通手段を再発明し、1兆ドルのビジネスチャンスをものにする」と力を込めた。

    中国市場の失速により、GMの北米市場への依存度はこれまで以上に高まっている。政権や組合が反発を強めるなか、計画通りのリストラを完遂できるかがカギになる。「スピードと規律をもって取り組む」というバーラCEOの実行力が試される。